走って走って走り続けて―
その先に待つものを、一体なんと呼べばいいのだろう。
人では太刀打ちできないはずの蟲を一刀両断する青年アベル。蟲に襲われたナツメを助けてくれた彼と再会したのは、それから七年後だった。あの頃と寸分変わらぬ青年との再会は、嬉しさから恋へと移り変わっていき……というお話。
これは優しさが見える物語だなあ。
幼い頃、命を助けてくれた人というのは、ナツメにとってとても大きな存在であったことは想像に難くないですが、危険な荒野を渡ってでも会いに行くのは、お礼の気持ちだけでないことに気づいていくあたりが、ニヨニヨさせられる。それまで本当に友達のような感じだったのに、一瞬にして異性を感じさせるあたり素敵だなあ。
一方のアベルは、蟲がはこびる荒野で生活していることや、老いることを知らない体に、引け目を感じていたんですが、そんなことを気にせず、心を全開にして向かってくるナツメという存在は、大きなものだったんでしょうね。じゃれあいから、食べてもいいよと言える関係になったときは、読んでるこちらが嬉しくなるものでした。
そんなふたりの幸せが一転していくところは……結ばれたからこそ離れなければならないという展開は、やるせないものがありましたが、乗り越えて行くための思いは、とても愛しく優しいものでした。
いや、いろいろ物足りなくはあるんだけど、でもこういうハッピーエンドはいいよね。
悠久のアンダンテ -荒野とナツメの物語- (GA文庫)
明日香 々一
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