「お前ならわかんだろ。なんで俺は賛成しなきゃいけねえんだ?」
「それはね、だんな」
小刻みに文字を打ち込む音が響く。
「私らが賛成してあげんと、ばんちょーがしょんぼりするからよ」
怪物を倒すことで多大な利益を得られる大迷宮。ゴールドラッシュを夢見て、死亡率14%という地下探索に向かう人々を描くシリーズの第三弾。今回は、地下への探索の効率を向上させるアイデアが、これまで隠されていた探索者たちの暗い意識を浮かび上がらせて……というお話です。
主人公らしき真壁の姿を、周囲の人はどう見ているのかが見えるお話だったように思います。なんだかんだ実力主義だから、迷宮街の人たちは、探索者として買っている人が多いんだなあ。まあ、書き下ろしに描かれていたテスト時の様子を見ていると、分かる気がします。ようやく真壁がどういう人だったのかという感じがつかめました。
でも逆に迷宮街の外へ出ると……
いつ死が待ち受けているかわからない、そのことは共通認識なのに、最前線にいる人と、待っている人の間の温度差がこうまで大きくなるとはなあ。注ぎ込まれる毒は、正論にも思えるけど、それ以上の悪意を感じてゾクっとした。
タイミングが悪い方向で重なっていくところには、不安しか覚えませんでしたよ。
真壁模様もそうだけど、探索者たちの間でも、ちょっとした異変があって、ゴンドラという一つのアイテムが、深い階層に挑めない探索者たちを頑なにさせていくあたりが、興味深かった。プライドってものは、時に足かせになるんだってことがよくわかる。
そんな中、軽やかに動いたマドンナのくせ者っぷりは、とても面白かったなあ。プライドに凝り固まった人たちを誘導して、きちんと考えさせる手腕は、優等生じゃ思いつかないし行動としても難しいことだったでしょう。彼女がいなかったら、ゴンドラ問題は、泥沼になったかもしれない。
まあ、結局のところ、人は人を信頼していくんだなと思いましたよ。最終的に賛成に回った人たちも、真城が主導者がだったから、という理由はあったんじゃないかな。
次で終わりらしく、そのための種まきと言った感がありますが、なにかと不安にさせてくれる一冊でしたね。大きな変化がなかったのに、怖くなっていきます。このままだと誰か主要な人が……という感じがあってドキドキする。
いや、きっと夜明け前だから暗くなってるだけだと、そう思いたい。
迷宮街クロニクル3 夜明け前に闇深く (GA文庫 は 4-3 迷宮街クロニクル 3)
林 亮介
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