その真っすぐな眼差しに、深弦は思わず「あまり期待はしないで」と言いそうになったが、喉元で押し留めた。そんな予防線を張っているようでは一流の調停員になどなれはしない。期待に応えてこそ調停員だ。
人魚、巨大な土蜘蛛、ハーピー、ケンタウロスなどなど、幻想の島にしかいない幻想の生物・オルカ。彼らの間に入り、諍いを調停する職務を夢見て赴任してきた新人調停員・稲朽深弦が、失敗を繰り返しながらオルカの信頼を得ていくシリーズの第二弾。今回は、花粉症に悩むサラマンダーの相談に乗ったら、風狸と雷獣の勢力争いに巻き込まれて……というお話です。
やばい、面白い。
空飛ぶ孤島、壮大な景色、圧倒される火山など、オルキヌスならではの描写を見せられると、深弦が調停員を目指した気持ちが分かる気がします。これはロマンだよなあ。そんな感動を見せつつ、笑いを持ち出すところが、このお話のいいところですが。
軽快な会話のキャッチボールは、今回も健在にあって、クスクス笑わされまくりでした。さぶ!と思うことも楽しめるからいいです。
さて、きっかけは、サラマンダーの花粉症という些細なことだったのに、辿っていくと、マンドレイクのストレス→風狸と雷獣の二勢力の板挟みというように、大きな問題が起因だったという事件は、いろいろつながりを感じて面白い。
その間に、遊びに見えるような出来事があったりするんですが、意外な活躍をみせたりして(いや使うだろうとは思ってたけど、あんな使い方するとは思わなかったよ!)、強引だけど引き込まれるばかりでした。ああ、楽しい。
もちろん、調停となれば傷つかずにいられるとは限らず。
悩む深弦が、ベストではなく誰も傷つかないベターを……と弱気になる気持ちはわかります。自分の選択一つで先が変わってしまうかもしれないのですから。
それでも、ライバルの言葉や調停員としての志を持って、反省しながら失敗しながら、予防線を張るのではなく、期待に応えていこうとする深弦の姿が良かったです。つたなくも、信頼を預けたくなる魅力がありますよね。
博打に見えた調停でどう治めるか。
無茶ぶりを繰り返し、それは無理じゃないかと思わせながらも、状況を作り上げた手腕に拍手したくなりました。オチに使われた者のこんちくしょうの一言にニヤリです。
いやあ、面白かった。
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Home > ライトノベル > [鳥羽徹] オルキヌス(2) 稲朽深弦の調停生活
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