「君にとって大切なこと。そこに近づくためのヒントを、ひとつだけ」
今までとは違う、柔らかな口調で。でも今までで一番意味のわからないことを、柊二郎は言う。
「君は『どうでもいい』という言葉を時々使うけど、『どうでもいい』と言われてかまわないものなんて、この世にはひとつもないんですよ。人間も動物も妖怪も、樹や草や虫だって」
こちらの世界とあちらの世界の狭間にある「空栗荘」に住むことになった高校生・太一が、ちょっと不思議な出来事や妖怪たちの騒動に巻き込まれるお話の第三弾。今回は正月に自宅に帰るか悩む太一の様子が描かれるお話です。
義理の母である「鈴子さん」から送られてきたクッキーをカラクリ荘の面々に差し上げたことから、他人を思いやる心とは、ということを見つけていく展開がよかったなあ。
レンとの衝突が彼の心を揺さぶって、雪女である六花に取り憑かれたことで感情を体験して、采奈のおかげで感情を感情として理解していく。ほんと素晴らしいです。
カラクリ荘の人たちのみならず、「あちら」のモノたちの距離感もいいですよね。太一の辛さを知り、ちょっとしたお節介をしながらも、見守る姿が温かかった。
勇気を出して踏み込んでみれば、「鈴子さん」にいろいろな面が見えてきて、逆に相手も自分のことが見えてないことがわかって。人ってこうやって伝わりあっていくんだなと思った次第です。
人の温かさを実感し始めた太一の姿を見ていると、物語の終わりは近いのかなと思ってたら、あと一冊だそうです。「こちら」と「あちら」の雰囲気とか大好きなだけに、とても寂しいですが、最後まで追いかけていきたいと思います。
カラクリ荘の異人たち 3 ~帰り花と忘れ音の時~ (GA文庫)
霜島 ケイ
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