違うのだ。この黒騎士は、ホリィ・ブローニングではない。
胸中で高鳴る心臓の鼓動も、優子の言葉に訂正を求めるかのように、少しだけ強まる。
そう、ホリィではない。
優子は、優子だけは、この黒騎士を別の誰かと間違えてはいけないのだ。
ホリィを狙うものと彼女を守る騎士に目覚めるものの戦いを描いたシリーズの第二弾。今回は、「災禍の心臓」が巻き起こす惨劇に、櫻井優子が巻き込まれていくお話です。
少しずつ日常ではあり得ないことが見えてくる展開にドキドキしますが、変化に動揺していた少女たちのちょっとした躊躇いが、すれ違いを生んでいく展開には、心痛むものがありました。特に、相手を大切に思っているのに、感情をぶつけてしまう衝動にかられるところは、読んでて辛かった。
でも、だからこそ、一度見失った友人を探すために走り続ける優子の姿に、胸を打たれるものがあるんだよなあ。彼女が、中学の三年間、努力を続けた集大成が、想いとなって親友に届いたシーンは、じわりとくるものがありました。
それにしても、目覚めた黒騎士と、災禍の心臓を狙うものの戦いは、周囲に大きな被害を生み出したなあ。しかもまだ「人形」は残ってるっていうんだから、更なる悲しみが待ち受けてることが想像できて、原因となったホリィはもとより、「力」を生み出してしまった智美を思うと、やりきれない思いになる。
やりきれないとはちょっと違うんですが、個人的には、優子の変化がちょっとゾクリとさせられました。剣精であるとはわかってましたが、まさか落ち着いてしまうとは……。精神が安定していることが怖いと感じるんだから恐ろしい。
それでも、この三人が力を合わせれば、これから襲ってくるであろう悲劇から、護ることができるんじゃないかと、そう思っています。思いたいです。
カラミティナイト-オルタナティブ-2 (GA文庫 た 6-2)
高瀬 彼方
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