ようやく、救いの道が見えてきたのだ。
―五番目の騎士。
それは、彼女以外に考えられない。
彼女が騎士として戦い、苦しむ姿が……見たい。
彼女の周りでは人が死にすぎだ ― 自分の書いている小説の主人公に似ていることから、転校生のホリィのことが気になる智美。だが、他人を寄せ付けないホリィに、内気な智美は近づくことが出来ない。そんな折に、「騎士」を生み出すべく、智美をホリィに近づけようとする輩が現れて……というお話。
いやあ、面白い。というか、これから面白くなりそうって感じのいいところで終わってくれてますね。
人との触れ合いに臆病な智美が、元気いっぱいな親友を得たことで、ちょっとずつちょっとずつ変わろうとして、時々落ち込むこともあるんだけど、友人や、趣味である物語に支えられたりして、前を向こうとする姿が、微笑ましく思えます。
この平和なときがなあ、背後から忍び寄る陰のおかげで、ちょっとずつ歪められていくところが心に痛いですね。きっかけとなった悪ふざけの一言が心を閉ざさせてしまうところはやるせないものがありました。
よりによって親友の優子の目が届かないときだったということは、運が悪いというかなんというか。優子にしても悩み事を抱えているから仕方なかったんだけど……というより、これは智美の言葉足らずが原因なんだよなあ。人間関係に臆病すぎるが故に生まれたすれ違いだし。
それでも一旦は引き戻されていたはずなのに、最悪のタイミングでホリィと出会ってしまったことで、「騎士」が目覚めてしまうところは、ホリィの気持ちを思うと辛かったです。避けようと思っていた最悪は、常に選ばれてしまうんですね。
ホリィのみならず、智美についても、平和だった時を思わせるメッセに応えることができない状況がやるせなかった。
でも、この最悪な状況ややるせない想いが、物語の始まりを予感させて、ゾクゾク興奮させられるんだなあ。
「騎士」誕生のところは、智美の変化がいきなりすぎて、ちょっと「?」って感じになったりもしたんですが、始まったばかりの「慟哭者」と対峙した「騎士」の戦いが、これからどういう展開を見せてくれるのか楽しみです。
というか、僕はハルキ文庫版を読んだはずなんだけどなあ……。覚えてるのは面白かったという感覚だけでした。まるで思い出せない脳をどうにかしないと。
カラミティナイト-オルタナティブ- (GA文庫 た 6-1)
高瀬 彼方
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