「この子はカーマインを凄く憎んでいるみたいだけど、それが幸せそうには全然見えないんだよ。むしろ苦しんでる様にも見える。憎む事を自分に義務として課しているみたいな。だからね……僕はこの子に知って欲しかったんだと思う」
フォロンは微笑む。
「僕みたいに、精霊と出会ったお陰で、こんなに、こんなに幸せになれた人間も居たんだって」
反精霊を掲げる者の手により、精霊と人間の融和をテーマとして行われる「トルバス・スピリット・フェスタ」が混乱に陥って……という赤ポリの「エイディング・クリムゾン」からの続きとなるお話です。
普通に考えたらコーティ最強なんだけど、精霊を操るという奏始曲の存在が変化球となって、フォロンたちを襲ってくるから、いい感じに互角バトルが繰り広げられることになるんだなあ。ただ、上巻に比べると、謎的なところは物足りなくて、クライマックスまでの道のりが若干長くも感じましたが。いまいち悪者に魅力がないんだよなあ。
まあ、リュネアの思いとの違いを見せるってことではわかるんですが、底が浅いとこう、なんていうか、げんなりする。
それにしても、カーマインとリュネアの関係は、なかなかやるせないものがある。両親を殺した相手と憎むべき存在であるのに、別の角度から見たらそれは……ということに気づいたリュネアを思うと、苦しいものを感じましたが、そこで自暴自棄にならないあたり、彼女の芯の強さを伺えます。
そして、カーマインを見ていると、精霊という存在もまた、人と同じように複雑な感情を持つものだということが伝わってきますね。告げられる言葉からは、冷たいものを感じるけれど、でもカーマインの行動を見ると、リュネアに抱いている感情は、恐らく家族愛的なものがあるんじゃないかと思えるから切ない。
それでも今回の出来事を通じて、精霊についての思いを新たにしただろうから、すぐに手を取り合えることはないかもしれないけれど、いつかはと、そう思いたいです。
善き隣人であるとはいえ、場合によっては精霊も暴走するってことを認識してしまった人間たちが、今後どのような思いを持っていくのかはわかりませんが、せめて、この場にいた人たちは、襲ってきた精霊と助けてくれた精霊がいたことを覚えていてほしいな。
神曲奏界ポリフォニカ エイディング・クリムゾン 神曲奏界ポリフォニカシリーズ (GA文庫 さ 1-9)
榊 一郎
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