「皆さんを、ここに集めていただけますかな」
「まさか、もう犯人が分かったので?」
松浦は驚いたようだった。葵もだ。今までのやりとりで、いったい、何が分かったと言うのだろう?
「それなりの自身は、持っていますよ」
ここは冥土の一里塚……ってことで、メイド版スケバン刑事シリーズの第7弾。今回は、執事の朝倉の探偵物語と、地上げに対抗する大家族を葵・ルカ・ニキータが助けるお話と、知性を持ったコンピュータと葵の交流を描くお話の三編からなる一冊です。
何といっても一番面白かったのは、朝倉老人の探偵物語でしょう。とある銀行の頭取が殺されたらしいが、いきなり発表すると日本経済に与える影響が大きいということで、まずは警察の介入を避けるべく、海堂家の執事である朝倉と葵が、現場に足を踏み入れて、というお話なんですが、「マニアック?殺人事件 朝倉老人の華麗な推理」というタイトルが示すとおり、いろいろミステリの小ネタが仕込まれてて、にやりとしてしまうものがあります。
ミステリマニアでない僕は、この謎を解けませんでしたが(コロンボの90分版と75分版なんて知らないよ!)、探偵よろしくしらじらしい引っ掛け質問を投げかけたり、わかっていることがあっても、最後まで真相を明かさないじらしプレイをしてくれたりと、朝倉老人のノリノリな探偵姿が楽しかった。
ご主人様が昔お世話になった乳母が、今、地上げで困っているという「負けるな大家族!黒須姉妹再び」は、弱きを助け、強気をくじくという、いつもながらのメイド刑事物語。悪に対しての恫喝よりも、こちら側にいるいじけた人に喝を入れる姿が格好いいよなあ。
個人的には、知性を持つコンピュータとの交流を描いた「オフェリアよ眠れ!最凶の敵出現」が一番好きでした。葵との会話を得て、人間の感情というものを理解していくオフェリアが、だんだんと可愛い存在に思えてきて、もし、邪魔する者たちが出てこなかったら、二人は本当に親友になれただろうにと残念でなりません。
それでも、オフィリアと分かり合えるものがみえたところは、とてもよかった。コンピュータであろうがなんだろうが関係なく、オフィリアに手を出した輩に、葵が見せた怒りが、心に残りました。
それにしても、なかなか黒須姉妹とその上の人に手が届かないなあと思ってたら、さらに一人出てきたか。しかも、かなり狂った感じなので、今まで以上に葵たちに危険が迫ってきそうです。
こんな危機が迫ってくれば、ふたりの仲ももうちょっと進んだりするかなと期待しながら、続編をまっていようと思います。
メイド刑事 7 (GA文庫 は 1-7)
早見 裕司
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