ただひとり、闇の中に取り残された少女は、特に何か感慨を覚えたふうもなく
「ついに、始まる……か。あの男が奏でる地獄の葬送曲。いや煉獄への道か?」
ぽつりと、そう呟いたのだった。
「それとも、救いか?」
グラナード家のお嬢様・プリムローズのためなら猪突猛進するメイドのプリムローズが、コントラバスの化身であるという精霊ブランカと契約して、お嬢様と共に精霊島にある中央精霊師学院に通うことになったポリ白シリーズの第七弾。今回は、未来を知るスノウたちが、過去のどこまで手を出していいのかと悩むお話。
まだ続くのか……というのが正直な思いでした。全作も今作もも短編を収録するスペースがあったら、本編を……と思ってしまうのは、いいところで終わってくれやがるからです。特に今回は、学院長のマーヴェラスを襲う危機の盛り上がったところで終わってしまったがために、もどかしい限り。
もどかしいといえば、「過去」に飛んでしまったからこそ動けなくなると言うのは、もどかしいだろうなあ。目の前に助けられるかもしれない命があるのに、自分たちが動いたら未来が変わってしまうのではと言うタイムパラドックスは、とてもきつい選択に思えます。
それでも、プリムローズやデイジーの自分とは違う視点からの考え方に、自分のいたらなさに気づき、同時に納得できない感情に揺れてモヤモヤしてたスノウが、ブランカとのやり取りを経て、気持ちを晴らしていくところが良かったです。お互い素直じゃないけど、気持ちが見えまくってて、嬉しくなってしまいますね。
ただ、地上で起きてる戦争は、悪化の一方をたどっていて、しかも裏で糸を引いているのが……。いずれプリムローズを襲う悲劇が待ち受けているようで、不安極まりない。
スノウたちが過去にとばされた理由は何なのか。学院長の行く末はどうなるのか。続きがとても気になります。
本編のあとに収録されている書き下ろしの短編「リトル・パーフェクト」は、デイジーがまだ幼いころ、早くに亡くなってしまったパーフェクトと呼ばれる母と比べられることで、意固地になっていた少女が、神曲を通じて、誇り高さを取り戻していくお話です。
「デイジーデイジー」と呼びかけるピースに、これ以上ない暖かさを感じて、すっごい良かった。
この二人の素直な恋模様が一度見てみたいな。
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