「……あんたまさか、最近やっくんとうまくいってるから小説に魂がこもらないんじゃないでしょーね?」
図星だった。
「な、な、な、何を言っているのだ、なっち!?わ、わ、私は、や、八雲とはそのっ、取材だ。しょ、しょうせつのための取材として、ちょ、ちょ、長期間にわたって、か、か、カップルのふりを、そ、そ、そのっ」
「いい、美桜っち?一作目の立ち上がりが良かったからって、調子に乗ってラノベをなめてもらっちゃ困るわね!ライトノベルはシリーズもの。マラソンの如き長丁場なのよ。今度のシリーズの流れを決定づける二作目は、とっても大切なんだからっ!」
美しく最強にして孤高の女子高生が、実はライトノベル作家だった?ということで、ライトノベル作家であることを隠しながら、捜索を続ける流鏑馬剣と、彼女の正体を知ってしまった与八雲が繰り広げるラブコメシリーズの第二弾。今回は、夏休みに仮(?)の彼氏である八雲との仲をと張り切っていた剣の前に、学園一のかわいい女の子・市古ゆうなが近づいてきて……というお話です。
ああ、楽しいなあ。八雲と一緒にいることがうれしいのに、素直になれない剣がかわいくてかわいくて。ヤキモチをやいてほしくて、いろいろ声をかけて、だんだん自滅していくところとかいいですよねぇ。ベタなのに、何と楽しいことか。
で、夏休みに入ったら、八雲の家でバイト三昧して……といろいろ考えていた剣の前に、市古ゆうながバイト仲間として入ってきてから、楽しくなるんだ。ふわふわと可愛い女の子と、自分のような目つき鋭い女を比べて、勝手に落ち込み、もしかしたら、八雲もゆうなを……と、危惧しちゃうのは、やっぱり妄想力がありすぎるんでしょうね。
何とか八雲の目を引こうとすると、女の子らしいところはゆうなにとられて、用心棒みたいな頼もしい姿ばかり見せ付けてしまうところに、空回りの楽しさを感じます。
そんな剣の努力に気づかない八雲ですが、まあ、これは八雲を責められないよねぇ。彼は彼でちゃんと剣のことが好きなんですから。とはいえ、みんなで海に行ったとき、ビキニ姿をちゃんと見てあげないのは、困ったもんですけど。彼女にも弱いところはあると知ってるんだから、照れてしまうのは判るけれど、ちゃんと言葉にしてあげないとね。
八雲との関係を勝手に疑っていたおかげで、なかなかゆうなと話をすることができなかった剣でしたが、海で語り合う機会ができて、だんだんとゆうなに対して、彼女を思う気持ちが出てくるところがいいんだなあ。
そして、ゆうなも。
はじめは、ただ尊敬というか、憧れの目で剣を見ていたゆうなが、「友達」と言ったときのシーンには、じわりときてしまいました。あー、ほんといいな、これ。
まだまだ素直になりきれない剣だけど、恋に友情に、そして創作に、頑張ってほしいですね。
オススメ!
ライトノベルの楽しい書き方 2
本田 透
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