環状高速道路での玉突き事故が発生したすぐ側で、殺人事件が起きていた。バイクに乗っていた人間の首が切られていたのだ。それも刃物では到底あり得ない鋭さで。精霊が関与している可能性が高いと睨んだマティアとマナガは捜査に乗り出したが、被害者の家族へ事情聴取を始めようとしたとき、思わぬ出来事が起きた。被害者と懇意にしていた精霊セライザが、被害者の家族のショックを重く見て、家族の前に立ちふさがったのだ……
走行中のバイクに乗っている男が一瞬にして首を切られたという殺人事件を、マティアとマナガが追うお話です。
ああ、いいなあ。前作のことがあったせいか、マティアがやけに可愛く見えます。今までも、マナガには心を開いてましたが、ちょっと甘えのようなものも見えてきたような。レタスをぱくんと食べる姿を見せる無防備さや、だっこしてと目をキラキラさせながら手を伸ばすちょっとコミカル風味なイラストが、やばいぐらいに可愛かったです。戸惑うマナガの様子に、思わずにやり。
そんな二人が事件の捜査を始めたんですが、まさか、いきなり躓くとは思いませんでした。家族を失った人たちの心情を酌んでくれという気持ちはわかりますが、あそこまで感情的に反発するとは。セライザと被害者の家族の繋がりには、絆の強さも感じたけれど、危うさもみえただけに、どうなっていくのか引き込まれるばかり。
犯人については比較的容易に想像がつきますが、動機が見えないだけに、何とも言えないもどかしさを覚えましたが、そんな中、印象的だったのは、マナガとマティアが、犯人に対する怒りを露にしたことですね。おそらく犯人の検討は早々についていたんでしょう。だからこそ、二度目の玉突き事故を知ったときに、犯人であるという確信と、犯人に対する憤りを覚えたんだろうなあ。
事情が見えてくるにつれて、精霊と人を繋ぐモノについて、改めて考えさせられることがありましたね。同じような思いをマナガが抱くことはあるかもしれないと思うと、不安を覚えたりもするんですが、今回の事件での「怒り」を覚えている限り、大丈夫だろうなと思います。そう思いたいです。
お互いへの信頼を感じさせるやり取りで幕を閉じ……と思ったら、ラストにとんでもない出来事が起きたりして驚愕です。いや、危険とは別物だと思うんですが、いったいマティアの身に何があったんだろう。
マティアが「怒りを覚えても憎むことはしないで」と言ったのが、やけに心に残ってるんですが……大丈夫かしら。妙な暗示じゃなきゃいいんだけど。
神曲奏界ポリフォニカ ペイシェント・ブラック
大迫 純一
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