帰宅途中に拾った携帯電話に、電話がかかってきた。「自宅」とディスプレイに表示されていたから、出てみたら、携帯電話の持ち主である三岡さん本人だった。これから受け取りに来るというので、拾った場所で待っていたが、いつまで経っても彼は来ない。やがて、電話で説明を受けたままの男の人が走ってきたが、どうも様子がおかしい。声を掛けたら立ち止まってくれたが、彼が掛けてきた言葉は意味不明なものだった。
「明日、ニセグミに会うよ……」
不思議なものを見たり、遭遇してしまう体質の少女・香絵が、拾った携帯電話を届けたら、そこには記憶が七歳へと退行後退した三岡学がいて……というお話。
ああ、いい雰囲気ですね。記憶を失くして子供のようになった三岡を放って置けなくなり、面倒を見てしまうところに、香絵の人の良さを感じますが、そんな彼女の優しさが、そのまま物語の雰囲気にも反映されているみたいです。ふわふわした感覚のおかげで、不思議な出来事も、違和感なく受け入れてしまいますね。>
三岡の面倒を見ながらも、探偵事務所での仕事は続けているんですが、ストーカーされてると思ったら、相手は既に亡くなっている人だった事件や、彼女の過去を知りたいと思った男の事件など、いわゆる「そっち」方面が絡んでくる話もあるんですが、何かと三岡がキーとなってくる展開が良かったです。
三岡の記憶の混乱が「家族」を思う気持ちから生まれたところは、何とも切ないものがありました。「明日が見える」ことが、苦悩の元であったのに、逆に望むものとなるなんて皮肉ではありますが、彼が記憶をなくしてくれたからこそ、香絵は命を救われたってことを考えると、この出会いは必然だったんじゃないかと思ってしまいました。
記憶を取り戻すために、その間の記憶と交換することを決意した三岡でしたが、きっと、また会えると、そんな予感があったんじゃないかな。切なくも、ひとつだけ手がかりが残されていたという終わりが素敵でした。
ただ、話が良くわからないところが、結構ありました。もうひとりの記憶の混乱者が出てきたときも、これはどういうこと?みたいな感じで、何度も何度も読み返してしまいました。説明が足りないとでもいうのかなあ。先のほうまで読んでいくと、だんだんわかってくるんだけど……。
雰囲気に浸ってるときに、わかりにくいところがあると、現実に引き戻されちゃうので、なんか、もったいない気持ちになる。
そういえば、香絵が忘れていることって何だろう。このあたりは、いつか明かされてくるのかな。
神様が用意してくれた場所2 明日をほんの少し
矢崎 存美
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