「どうして留真ちゃんはこんなになってまで……戦うんだろう」
彼方と同じ歳の少女は、疲労による過労で倒れても、まだ戦おうとしていた。それも、ひとりで。いったい何が彼女をそこまで駆り立てるのかを知ろうとしても、彼女は彼方の力を借りることを良しとしなかった。
そんなある日、ノイズの気配を感じた彼方が変身しようとしたとき、魔法少女へと変身した大人な女性が現れた。彼女は、どうやらグレイスこと留真の過去を知っているようで……
世界の乱す"ノイズ"を、人知れず倒す魔法少女たちのお話の第二弾。変身すると魔法少女になっちゃう男の子・彼方が主人公ではあるんですが、今回は、彼方と同じ歳の魔法少女グレイス・チャペルこと樋野留真のお話です。
これは、面白い!前作もつまらなかったわけじゃなかったんですが、良くある話だなあと思って、続きをスルーしてました。いろいろな人に「面白いから」とススメられて手に取ったんですが、いや、ほんと面白かったです。見送っていた自分を恥じる思い。
というか、前作を読んで、一番しっくりこなかったのは、彼方が女装しまくるというか、されまくるというか、そういうところだったんで、今回も女装ネタがあったら、あんまりノレないんだろうなあと思っていたんですが、いやいやどうして。
女装ネタを男が持ち寄ったら、にこやかにコブシを突き出す強さを持ってるのに、女性には押し切られてしまうかなたんが、だんだんだんだんカワイクみえてきて、別にかなたんだったら、女装してもいいんじゃないかしらと思うようになってきたから恐ろしい。
ち、違うから。そういう趣味はもってないから。と、誰にともなく言い訳しながら、ニヤニヤ読んでたのは内緒。
それはともかく、グレイス。「~ですの」なしゃべり方の可愛さとは裏腹に、限界を超えてでも戦おうとする姿が痛々しかった。彼方といるときには、ふと見せる柔らかさがとても素敵なだけに、何がそこまで彼女を必死にさせるのだろうと思ってたんですが……過去のエピソードが心に痛い。
グレイスを心配する魔法少……じゃない、魔法お姉さん・幾瀬依の思いは、決して同情だけではないのに、頑なな態度をとってしまうところに、グレイスの思いの深さが見えました。
そんな頑なな姿が変わっていったのは、彼方の優しさに触れたからでしょうね。グレイスの過去を知らない人だという思いから、普段とは違った心で接することができたから、逆にかなたんの言葉が、胸に届いたんだろうなあ。
いいんちょに振り回される彼方の姿を見て、今までに無い心の痛みを覚えてたのは、周囲を見回す余裕のなかったグレイスにとって、大きな変化だと思いました。モエルというケンカ仲間な存在も、彼女の心を揺らすのに、大きな影響を与えたでしょうね。
それまで、失いたくないと言う思いから、大切なものを作ろうとしなかったグレイスが、依の「守る」という力と気持ちの強さを目の当たりにして、失ったものを取り戻したいと思ったのは、きっと温かさを知ってしまったからだと思います。取り戻すための戦いの熱さに興奮し、今までと違った形で、依と寄り添うことができそうなシーンに、じんわり。
あー、面白かった。何とも素晴らしい熱さ溢れる展開に引き込まれました。
グレイスだけでなく、かなたんも、すっごいことやってたなあ。強敵相手に、幾度となく倒れそうになりながら、決して折れなかった心の強さが格好良かった。それにしても、なぜここまでの力を持ってるのかは不思議に思うんだけど、モエルの謎とも関係あるのかしら。このあたり大いに気になるところ。
それにしても、いいんちょ。あまりのふりまわしっぷりにドキドキしてたら、なんだか素敵な姿を見せてくれるじゃないですか。これは続編が大いに楽しみ。
おと×まほ 2 (GA文庫 し 2-2) (GA文庫 し 2-2)
白瀬 修
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