『春風注意報。渡り猫にが到来しております。お手を出さないよう願います』
渡り猫?誰かのいたずらかしら。ツクツクさんの家に届けられた謎のカードが来たその日は、春一番が吹いていた。その春一番に飛ばされてきた紙袋の中から、にゃあという泣き声が聞こえてくるではないか。慌てて紙袋を手にしてみると、中から子猫が出てくる。
旅に出たい子猫が、紙袋に入って宙を舞うのは、春の風物詩だというツクツクさんの言葉は信じられないけど、子猫たちがどこへ行くのは気になる。お散歩がてら、一猫、二猫と、春を数えることにしたが……
お隣に住んでるツクツクさんの家には、ちょっとした不思議がいっぱい。今日もまた、好奇心旺盛なメアリーが、ツクツクさんの家で不思議と出くわすという「お隣の魔法使い」シリーズ第三弾です。前作同様、春夏秋冬の季節にちなむお話が、収録されています。ひとつひとつのお話は短いけれど(各季節、二、三編の物語が詰まってる)、ちょっとした不思議やちょっとした冒険があったりして、温かい魅力たっぷり。ああ、やっぱり、このシリーズの雰囲気は素晴らしい。
「春は蒼い月」と題した春のお話の中では、あらすじにも書いた猫の話が、とても可愛い。春を数えるという単位が、一猫(にゃんこ)とか言われた日には、ツクツクさんの愛らしさにやられてしまいます。はじめはツッコミいれてたメアリーが、だんだん春を数えるのにハマっていくところが、彼女らしくていいですね。
「夏は梢の下」と題した夏のお話の中では、海に行くお話しがよかったです。海岸で拾ったボトルレターの中にあった宝の地図通じて、冒険するなんて、まったくもってメアリーが可愛いったらないです。こういう好奇心は、いつまでも忘れずにいたいところ。見てないところで、ツクツクさんがちょこっとズルしてるのを感じられたり、景色の素晴らしさが伝わってきたり、イルカとの戯れが見れたりと、楽しさ満載でしたが、最後に見つけたお宝が素敵でした。もちろん、好きな人と一緒にってのが、何よりだと思うけど。
そういえば、「夏」には花火な話もあって、それも良かったなあ。
「秋は翻る美」と題した秋のお話の中では、友人とケンカしてむしゃくしゃしてたメアリーが、ツクツクさんにも当たっちゃって、というお話が好き。わかっているのに、つい言ってしまうのは、ツクツクさんに甘えてるところがあるからなんでしょうね。謝りたいけど、なかなかきっかけをつかめなかったときに、ちょっとした冒険が、気持ちをすっきりさせてくれるところに、にんまり。最後には、素直になれたメアリーと、優しさで包んでくれるツクツクさんが見れて、とてもよかった。
「冬は想う人」と題した冬のお話の中では、やっぱりクリスマスだなあ。ツクツクさんの家に遊びにいったら、レディがきてて、クリスマスプレゼントの包装&プレゼント配りを手伝わされるという展開。レディの強引さに振り回されながら、気づけばツクツクさんと一緒に、苦労を楽しんでるメアリーにうふふとなる。
プレゼントを配るったときの子供たちの喜ぶ姿は、ほんと心が温かくなりますが、ここで見せてくれたツクツクさんの機転と優しさに、じんわりくるものがありました。さて、ふたりはプレゼントの交換とかできたのかなと思いながら、閉じた幕の余韻に浸りたくなる。
ああ、面白かった。エピローグでの、可愛らしさと緊張が伝わってくる手紙のやり取りがたまりません。この距離感は、何物にも変えがたいですね。
あとがきによると、この巻をもって一区切りとのこと。どうやら三年間くくりだったみたいですね。でも、時間軸としては終わっても、まだまだ間を埋めるお話は残っているんだとか。
ツクツクさんとメアリーには、また会いたいので、ぜひとも続きをお願いしたいです。
お隣の魔法使い 永遠は三つめの願い
篠崎 砂美
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