特別に治安がいいと言われている姉尾県は、この半年で刑事事件が一件もないという。だが、暗殺集団がいるという噂、銃の横流しなど、警察自体に不審な動きが感知された。このことで怪しんで調査を行っていた人間と連絡が取れなくなったことを受け、葵は姉尾県の県警本部長・桜木の家へメイドとして、潜入したが……
恐怖を持って町の治安を維持する姉尾県に、葵が潜入したら、殺人犯として指名手配されて……というお話。シリーズ初の長編ってことのせいか、葵にピンチが襲い掛かりまくる展開でした。普段とは違った葵の弱さが見れたことが印象的です。
行く先々にニキータがいるのは、なぜかねと思いますが、この人がいるからこそ、安心できるところもあるので、まあいいか。それよりも、もうひとりのメイド、敵である真美香の双子の妹、真奈香がいい味だしてましたね。姉と同じように悪どいことに手をつけてますが、ひょっとしたらこちらのほうが手ごわいかもしれないと思ったり。今回は顔見せ的な感じでしたが、さて、次はどうくるのか。
姉尾県の内部は、どこの国だと思うような恐怖政治状態で、かつてこういう状態だったことがあったり、今でもこういう国があったりするんだろうなと思うと、ぞっとするところがあります。
国のためと称しつつ、ただただ自分のためであるところは、狂信的なようで、ただの駄々っ子のようにも思えます。犠牲になった人のことを思うとやりきれないところがありますが、海堂の堂々たる態度と怒りに溢れた拳には、熱いものを感じました。
そして何より、海堂が葵に対しての気持ちを見せてくれたのは、良かったですね。まあ、私的なものとは言いがたいかもしれませんが、大切に思っていることが伝わってきます。この思いが伝わってきたからこそ、最後の戦いにおいて、葵も踏ん張れたんじゃないかと思ったり。
今までのキャスト勢ぞろいって感じで、全員に活躍の場があるあたりが、定番的展開ではありますが、良かったですね。戦うのは平和を守るためと思わせてくれる、ラストシーンに温かいものを感じました。
個人的にはレディース総長の曜子が大好きなので、今回の大活躍っぷりには、思わず拍手。葵への手助けの仕方とか、読んでるだけでたまらない気持ちにさせられますね。
いつか、葵とふたりで何かやってくれたらなあと思わなくもないですが、どうなんだろう。
次はまた短編でのお話になるそうです。ゆるーいお話の三話構成とのことなので、これまた楽しみです。
メイド刑事4 (GA文庫 (は-01-04))
早見 裕司
ソフトバンク クリエイティブ(文庫)
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