精霊こそがこの世界を統べる唯一の存在であるという思想にかぶれたハイディは、天才と呼ばれている神曲楽士のリグルスを精霊に従わせるべく、ルーファを送り込んだ……つもりが、あろうことか、金がなくて貧乏で、楽に金儲けができないかと常に企んでるリグルスの兄クルナのところに転がり込んでしまった。
些細なことから慰謝料を要求され、掃除洗濯炊事までやらされたルーファだが、さらにクルナはあくどいことを考えて……
超貧乏生活で、無職に近いなんでも屋のクルナと、お人好しでドジっ子で、家事全般が得意なルーファが、幻の神曲の楽譜を追いかけることになって、というお話です。
変に軽いというか、無理にコミカルにしようとしているような感じを受けたせいか、始めはどうにも楽しめなかったんですが、お金稼ぎのために動き始める 2章ぐらいから、おもしろくなっていきました。楽して金儲けしようとして、半分ぐらいは行き当たりばったり。それでも、うまくハマるとこうなるのか。悪い方面の考え事には、頭が働くところがいいですね。
幻の楽譜をめぐって、裏の組織がいろいろと動いている中、コスイやり方で出し抜いていく様が楽しい。
それと、ルーファの周りの精霊たちがいいですね。精霊至上主義のリーダーであるハイディと猪突猛進なササヤは、ルーファを取り戻そうとして乗り込んでくるのに、あれよあれよと言いくるめられてしまうところに、人の良さを感じます。なんだかんだ言って、人間との関係がそれほど嫌いじゃないんだろうなあ。
気がつけば一緒に食卓を囲んでたり、気がつけば何か手伝ったりと、言い合ってるわりに、仲良くなってるところが、何だか微笑ましいです。
実は才能があるのに、頑なに神曲を演奏しようとしないクルナの過去に、いったい何があったのか明かされませんが、「精霊の力を必要とせず、ただそばにいて欲しいだけなら、神曲なんかいらねえんじゃねえの?」という青臭い理想を、本気で信じてるんだろうなあ。
きっかけこそ強引だったし、便利なお手伝いさんなどと言っているけれど、ルーファがやったことについて、ちゃんと感謝してるクルナを見ていると、理想を理想のまま終わらせてないんだろうなと思いました。
っていうか、そのセリフは、ものすごく告白に聞こえるんですが、さてさて、どこまでを思ってのことなんでしょう。
一方のルーファも、ただ気弱なお人好しというわけではなくて、過去に引き起こした事態があったからこそ、今の性格になったというところでしたが、もうちょっとこのあたりはいろいろ読んでいたかったかな。やや駆け足チックだった気がしますが、あの力ならしかたないか。
上級精霊のフローラに対してのあの最後の手段はどうかと思うけど。
貧困っぷりは間違いなくポリ全色の中で最強ですが、このままコスイことを続けて欲しいなあ。お金持ちなクルナなんて面白くないというのもあるけど、貧乏してても、文句を言ってても、人間と精霊が一緒に食卓を囲む、そんな雰囲気がとても良かったので。
次あたりクルナの過去話とか読んでみたいけど、さてさて、どうなるのかな。
神曲奏界ポリフォニカ えきさいと・ぶるう
築地 俊彦
ソフトバンク クリエイティブ(文庫)
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Comment:1
- ジャラル 2007-02-21 (水) 10:24
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しかし新シリーズは「メガネっ子」か・・・その手があったか(苦笑)。精霊至上主義現実派の暗躍というと、精霊が実際に力を持つこの世界では大変な事のようですが、実際は「ハイディと変な連中(実質2名)」(笑)という扱いを受けています。
築地俊彦先生の作品らしく「笑わせる時にはトコトンギャグで行き、アクション時には徹底してシリアスに行く」というサービス精神は健在です。次巻が楽しみ。





