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[葛西伸哉] ポチのウィニングショット

テニスとホッケーとスカッシュをあわせたようなバーチャルリアリティのスポーツ「スフィアボール」。あまり知らなかったスポーツだけど、イベントで試合を見て、あたしは黒崎さんに恋をした。運命の人だと思い、黒崎さんが練習しているジムに通うことにしたら、なんと先輩がスフィアボールを教えてくれることになったのだ!
デートとかはないけれど、丁寧に教えてくれるのは、きっと先輩もあたしのことを、と思っていたのに……

ああ、これはいいですね。憧れの先輩へ近づくためにスフィアボールを始めたがんばる女の子のお話です。

先輩と会っているときは、嬉しさがにじみ出てくる感じが伝わってくるだけに、落ち込んでからは、どうなるかと思いましたが、逃げて逃げて、でも逃げ切れなくて、諦め切れなくてと、揺れるところは、わかるような、でも甘えすぎなような、そんな感じでした。

そんな星子の状態を理解して、慰めながらもきっちりと叱咤した奈々枝の姿は、まさに親友といった感じでカッコ良かったです。稚拙かもしれないけれど、心に響く言葉が素敵です。星子が、先輩とスフィアボールを諦めずにいられたのは、ナナの支えがあったからだと思いますね。

まっすぐで、浮き沈みが激しくて、頭で考えるより、体を動かすほうが得意な女の子なだけに、立ち直ってからの展開は、もう一直線でした。傷つくことから逃げていた少女が、いつの間にやら、真剣にスポーツに打ち込む姿を見ていると、こっちまで元気になってくる気がしてきます。
恋にしろ、スポーツにしろ、周りが見えなくなるぐらい夢中になれる対象がいるって素敵ですよね。

最後はこれでもかってぐらい熱くなって、締めくくりはちょっとジンとくる。そんな物語でした。ストレートな感がありますが、とてもよかったです。
一冊できっちりとまとまっているため、続編はないらしく、そのあたりはちょっと残念ですが、次なる物語に期待しましょう。

ポチのウィニングショット - 葛西 伸哉

ポチのウィニングショット
葛西 伸哉

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