戦の多い時代だった。当初、十四あった国々は、わずか六国まで目減りしていた。最大勢力となったカルディア帝国の圧力には、一国の力で対抗することができぬと、ルマイラ国王の大叔父ルバートは考え、自身の最後の仕事として、北方の三国で同盟を築き上げるべく動き始めた。だが、それは容易ならざる一大事業で……
カルディア帝国に対抗すべく、ゼニツア、ルマイラ、ジェラルスタンの三国が同盟を締結するというお話です。前作のあとがきで「前二冊で登場したオールスターキャストが活躍する話」となっていたので、どんな話になるかと思ったら、いやあ、面白い。
前二冊で活躍した人たちの登場もさることながら、若き老いつつも第一線で外交を続けるルバートが素晴らしいです。ルマイラ国王の懐刀ともいうべき盲目のフーシェとのやり取りには、若き才能に押されることもあるんですが、年季の違いを武器に、三国に不平等にならないよう調整していく姿に心打たれます。
むろん、帝国とて黙ってみているわけがなく、策を講じて揺さぶりをかけてくる。ここをどう乗り切るかというところに、ワクワクさせられましたね。唆された者の反乱や、宗旨変えすら辞さぬなど、あらゆる手段を用いる各国の動きが、歴史を紐解くように描写されていくところが、たまらなかったです。
前作で出てきたフーシェも、なかなかに悪辣なことをしてましたね。敵に回すと、やはり恐ろしい。ただ、どこか甘いところを感じさせてくれるので、思わずにやりとさせられます。
ダリウスも
三国同盟の駆け引きとは別に、「大陸一の女」と呼ばれる遊女セシリアと、セニツアの密偵ディークという話も描かれているんですが、何とも言えないほど切ないです。繋がりが見えたときの衝撃ったらなかったなあ。乱世によって引き裂かれた者の、これが運命なんでしょうか。せめて幸せにと思いながらも、迎えたラストにはやりきれない思い。
個人的に最も印象に残っているのは、あと一歩で三国同盟が締結しそうなのに、その一歩が遠いとき、老臣かが説いた「人の心」と、その「人の心」をルマイラの王だけでなく、ゼニツアの王妃が見せたところです。戦時中、ゼニツア王妃が出てきたのはこの場面だけでしたが、このシーンには、目頭が熱くなりました。
いやあ、面白かったです。勝つのではなく、負けぬために戦うものたちの歴史群像物語を存分に味あわせていただきました。
もともと角川スニーカー文庫で出版されていた三部作の復刻版ってことで、本来であれば戦塵外史シリーズはこれで終わりなんですが、あとがきによると、雑誌未収録集+新作で、新たに三冊出版されるそうです。これは嬉しい!
今から待ち遠しくて仕方ないです。
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Comment:2
- ジャラル 2007-06-17 (日) 15:21
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カルディア帝国に対抗すべく、ゼニツア、ルマイラ、ジェラルスタンの三国が同盟を締結・・・とまで行くのが大変だなと。今回の同盟で一番得したルマイラ国の軍師フーシェのアクドイ所は、私などは『銀英伝』のオーベルシュタインを連想しました。どうせならルマイラ国の天下統一まで読んでみたいですね。
- deltazulu 2007-06-17 (日) 15:41
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たしかにオーベルシュタインらしいアクドさでしたが、ちょっと甘いところもありましたよね。そこがまた魅力的なんですが。
>どうせならルマイラ国の天下統一まで読んでみたいですね。
あー、いいですねー。読んでみたいです。新たな新刊でどこまでいくのか、とても楽しみでなりません。





