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[矢崎存美] 神様が用意してくれた場所

そのとき、運が悪いことに探偵事務所にはあたしひとりしかいなかった。
探偵には興味が無く助手でもなく、たんなる雑用バイトのあたしだけど、人探しを望む女性の表情を見ていたら、話だけでも聞いてあげたほうがいいのではないかと思った。
いやな予感は当たった。存在しないはずの十字路を歩いているのを見た、と女性の旦那さんを最後に目撃した人は言うのだが……

探偵事務所に持ち込まれる依頼を追うお話ですが、ミステリーではなく、いわゆる「向こう側」がちょっとだけ絡むこともあるファンタジーといったところ。「向こう側」についてはほとんど明かされないので若干物足りない感じではありますが(もうちょっと理があると良かったと思う)、心地よい雰囲気に浸ることが出来ました。

個人的に一番好きなのは「すれちがいの季節」。2年前にたった一度すれ違っただけで、気配しかわからない人を探してほしいというお話。
惹かれあう男女の運命の物語っぽい展開でしたが、ラストであの決断ができるところが良いですね。信じるのであれば、強く願えば……、それは間違いなく運命となるでしょう。ある意味、香絵と小向は最高の仕事をしたことになりますね。切ないようで気持ちいい物語。

表題作である「神様が用意してくれた場所」は、まさにその名の通りの場所。それまでの話とはまるで違うため、一話の物語というよりはエピローグ的な印象でしたが、素敵な雰囲気だけでなく各物語の伏線の回収もあって、とても良かった。

これはいいですね。続編が読みたくなります。

神様が用意してくれた場所- 矢崎 存美

神様が用意してくれた場所
矢崎 存美

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