「で、よ!善一君にお願いがあるの!」
「な、何でしょうか?」
身を乗り出して詰め寄ってくる利美さんは真剣だ。無下に断れる雰囲気じゃない。
「善一君、武瑠が学校で友達が出来るよう計らってあげて!」
宝島社から献本をいただきました。
高校の入学式を迎えた沖田善一は、校門をくぐろうとしたときに、門の上から飛び降りてきた少女に踏みつぶされた。「私の友達になってくれないか」— 大けがをさせたにもかかわらず悪びれない態度を取る明華武瑠に、腹を立てつつ、美少女っぷりに流されてしまう善一は、武瑠の美しき家族・利美に頼まれて、暴走少女・武瑠のお友達作りの手伝いをさせられることに……第1回「このライトノベルがすごい!」大賞「優秀賞」受賞作。
これは楽しかった!友達から始まる恋っていいなー。
暴走少女というけれど、実際のところそんなでもなくて、少年漫画に影響を受けて体を鍛えてるおかげで、こづかれたら大変舐めにあったりするぐらい。彼女自身は友達なんて要らないといって、特に誰かを振り回すわけではない。でも、そんな彼女を放っておけない善一が勝手に振り回されているというか、無愛想だから怖いという印象を与えやすい武瑠のために、いろいろフォローしてあげて大変な目に合うという展開がおもしろおかしい。
そもそも友達なんていらないと言う武瑠がなぜ善一と友達になったかと言ったら、武瑠のお姉さん……でいいか、の利美さんのお願いだから仕方なくという感じなんですが、ちょこちょこまとわりついて美味しいものを食べさせてくれる善一にちょっとずつ気を許して、善一もまた彼女が友達作りを拒む理由を追いながら、胸の内を知っていき。
あまりラブコメって感じがしなかった前半でしたが、食べ物で釣りながらクラスメイトと関わらせていくうちに、お調子者の白柳とバカコントして、内気でたゆんでちょっぴりBとかLが好きな伊波さんが側にいてくれるようになって……友達っていいなと思いました。
ただまあ、いつまでも友達でいられるかといったら、それはまた別の話で。妄想ばっかりしてた少年が、いつしか本当の恋へと変わっていった思いと、ツンとした少女の胸の内の変化が見られるラストがニヤニヤでした。頑張れ男の子。
暴走少女と妄想少年 (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫 き)
木野 裕喜
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