この人だけには負けたくない。絶対に、絶対に、対等でいたいんだ。
宝島社から献本をいただきました。
情報検索がお手軽になり、秘密を知ることすら容易になってしまったことから、秘密中毒になってしまった病「IPI症候群」—クローラーと呼ばれる人たちを治療する為に、普段の生活を覗かせる「IPI配信者」—コンテンツとなった小日向祭。親友たる一葉と共に、普段の生活を放送しながら楽しい毎日を過ごしていたが、あるとき同じコンテンツであり、祭より遥かに上位にランキングされているユイガが転校してきたことで、高校生活に変化が起きて……第1回「このライトノベルがすごい!」大賞「金賞」受賞作。
なんだろう、これって恋とか愛とか、そういう思いを超えた、何かがありますよね。とても良かった。
クローラーたちを実生活において必要以上にエスカレートさせないために、普段の生活を映像配信して(もちろんやばいところは停止して)、人間というコンテンツを追わせる少女達のお話しなんですが、個人的にはいわゆるだだ漏れなので、デメリットしか思い浮かばなかったんですけど、必ずしもそうではないというのは意外でした。
もちろんそれを快く思っていない人もいるけれど、哀れみのレッテルを貼られたら、きっぱりと立ち向かえる真っ直ぐさを見せる祭は、素敵な子ですね。側にいる人たちが、決して特別扱いせず、頼りつつ守りつつ、良い人間関係を築いているところがよかった。
ただ、やっぱりデメリットもあるというか、自分をコンテンツとして配信する以上、周囲の人にも影響を及ぼしてしまう可能性があり、祭は自宅お呼び行動の映像のみというレベル2なんですが、転校してきたユイガは、ほぼ全映像(入浴・トイレは除く)のレベル4だから、クラスメイトが参ってしまうんですよね。
他人を気遣えて、迷惑であることを分かっていながら、何故彼女はレベルを下げないのか。この謎を追ううちに、ユイガの秘密と、彼女の過去が見える展開に、思わず涙ぐみそうになる。
秘密を知ってしまったことで動けなくなり、でも周囲は放って置いてくれず。なまじコンテンツとして人気を誇っていたから大きな騒ぎになってしまったんだけど、自分の中の揺れる思いにケリをつけて、すべてを吹っ切って、尊敬する人と対等でありたいとする祭の覚悟と行動力に、心奮えました。ああもうなんて愛らしくてまっすぐな人なんだろう。
相手を尊敬する思いを描きながら、友としての思いとライバル心をも見せてくれて、とても素敵でした。
僕たちは監視されている (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫 さ)
里田 和登
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