「わたしたち三人一緒に、楽しくお酒を飲める日なんてくると思う?」
「どうして、こないと思うのです?」
花無缺は、なにげないようすで続けた。
「この世では、毎日いくつもの奇跡が起こるのだそうです。だから私たち三人だって、いつの日かきっと一緒に酒を飲める日がきますよ」
ありとあらゆる悪の限りを尽くした悪人たちが隠れ住む悪人谷で、「十大悪人」に育てられたという少年・小魚児が繰り広げる冒険活劇シリーズの第七弾。小魚児が十四歳から十七歳へとなって「契」なる冠がついてからは第四弾。小魚児に危険が迫ることを知った花無缺の前に、悪辣なものの手が伸びてくるお話です。
いやあ、面白かった!新たに登場したキャラの魅力はたっぷりで、小魚児も相変わらず痛快なことをしてくれて、読み始めると止まらないとは正にこのことです。しかも、今回は花無缺が……。
強く正しく優しく。何もかもが抜きん出てる花無缺ですが、そんな彼にもたったひとつ、人の良さという弱点があって。これを利用して、のさばる悪党どものやり方には、正直ムカっときましたね。特に前巻から小悪党っぷりを発揮しまくってる江玉郎の野郎は!
ヤツの毒牙が忍び寄ってくる鉄心蘭のシーンは、花無缺の窮地を知っていても、それでもなお、お願いせざるを得ないものがありました。よかったとホッとする間もなく、次々と花無缺に降りかかる火の粉は、見てて痛々しいものがありました。
それでも決して誇りを失わず、自身の命を削ってでも鉄心蘭を苦しめないための嘘をつき。ああ、花無缺。君ってやつは……。男としてのプライドを感じます。
ま、因果応報というか、やったことに対しては、当然報いがあるんですけどね。今回新たに出てきた美女の蘇桜が、いやはややってくれる!小魚児とタメをはる口達者っぷりと、武力こそないものの医療の腕を利用して、並み居る武侠どもを相手に一歩も引かないあたりが素晴らしかった。江玉郎を懲らしめてくれたときには、拍手喝さいしてしまいましたよ。
どうやら、小魚児を追いかけてくるっぽいので、次以降の出番も大いに期待したいです。個人的には、小魚児よりも花無缺を相手にしてほしいんだけど、どうなるんでしょうね。
前半は花無缺の話でしたが、後半は小魚児のターン。花無缺がやられた手口を華麗に切り抜けるあたりは、さすがというところでしょうか。今まで溜まってたフラストレーションが、一気に吹き飛ぶ痛快さでした。しかも、意外な優しさも見せたりしてくれたりして、ちくしょう、惚れてしまうぜ。ほんと魅力的な男ですね。
最後にきて、更なる展開が待ち受けてるとは思いませんでしたが、いったいあそこで何があったんだろう?すっごい気になりますね。どうやら続きは、「マーベラス・ツインズ絆」の冠で登場するみたいですが、これが最終章となるのかな(何冊になるかはわかりませんが)。
とても楽しみなんですが、不安が一つあります。それは、巻末には次巻の予定が「ケータイで配信」としか書かれていないこと。お願いですから、本でも出版してください、コーエーさん……。
マーベラス・ツインズ契 (4)貴公子の涙 (GAMECITY文庫)
古龍
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