「あんたは、どうあっても江別鶴をやっつけたいみたいだね」
「人をやりこめるんなら、奴みたいな善人の仮面をかぶった悪人を狙ってこそ、やりがいがあるってもんだ。まじめで誠実な人間をやりこめたって、おもしろくもなんともないからね」
「あんたのいうのもわかるけど、悪人をだますのは大変だよ」
「だから、おもしろいんじゃないか」
ありとあらゆる悪の限りを尽くした悪人たちが隠れ住む悪人谷で、「十大悪人」に育てられたという少年・小魚児が繰り広げる冒険活劇シリーズの第五弾。小魚児が十四歳から十七歳へとなって「契」なる冠がついてからは第二弾ですね。善人の顔をした悪党・江別鶴の化けの皮をはがすために、小魚児が奮闘するお話です。
いやあ、面白かった。っていうか、こんな展開になるとは思ってもいませんでしたよ。驚いたけど、ますます面白くなってきた。
相変わらず小魚児はずる賢くて、詐欺仙とか呼ばれるような人すら手玉に取るところとか、ニヤリとさせられるなあ。十大悪人より伝授された変装術とか大活躍で、江別鶴を追い詰めるための包囲網を着々と進めていく展開が、楽しくてしょうがない。
こういうとき、ぎりぎりで逃げられてしまうのは、お約束というところでしょうけど、まったくもってツメが甘いというか、男や大人の感情を利用するのはうまいけど、自分に寄せられる感情を利用することができないあたりが、まだまだお子様というところでしょうね。それがまた魅力なんですけど。
小魚児の前にいるときの三嬢と九妹はほんと可愛くて、鉄心蘭はもう諦めてもいいんじゃね?と言いたくなった僕がいる。
ただ、策が変な方向にいったとき、立ちはだかったのが、花無缺で。
なんていうか、こう、あまりにもまっすぐでまぶしい男ですね、彼は。無理難題を吹っかけられても、力と機転を利かせて、さらりとクリアしていく姿は、惚れ惚れするものがありました。そりゃ、小魚児もあんなの見せつけられたら、素直になれないよなあ。
せっかく鉄心蘭と顔を合わすことができたのに、天邪鬼なんだから。
そんなこんなしているうちに、十大悪人のうち5人が悪人谷から出てきて、その理由の一端を担った男が、小魚児の前に現れてくれるから、さらに面白いことになってくる。十大悪人は、世間一般からは恐れられてる悪人たちだけど、小魚児のことは可愛がってるようで、小魚児も懐いてて、腹の探り合いをしつつも、どこか和やかな雰囲気があって、良かったです。
そして、十大悪人すらおびえる男の登場で、小魚児の意識が変わっていくところもまた良かった。三ヶ月後に戦おうと花無缺に言い渡したときの小魚児を見ていると、人というのは、ほんの一瞬でも大きな成長するものなんだなと思いました。
さてさて、約束の日を交わした後に、まさか二人が……となるとは思いもしませんでしたが、確執があった相手でも、思い切って言葉を投げかけられるのが、小魚児の良さですよね。
花無缺もまた、新たな思いを胸にすることになったみたいですし、これからさらに楽しみです。
マーベラス・ツインズ契 (2)めぐり逢い (GAME CITY文庫 こ 2-5)
古龍
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