「おまえって、利口なのか馬鹿なのか、全然わからないね」
小魚児はため息をつくと、彼女に背をむけ、遠い虚空を見あげた。
「俺は馬鹿でいたかったんだけど……。どうやらそうもいってられないらしい」
ありとあらゆる悪の限りを尽くした悪人たちが隠れ住む悪人谷で、「十大悪人」に育てられたという少年・小魚児が繰り広げる冒険活劇シリーズの第四弾。ようやく第二弾の続きです(第三弾は過去編)。小魚児が十四歳から十七歳へとなって「契」なる冠がついた新章の始まり。
いやあ、面白かった!!
花無缺を前にして、逃げることしかできなかったことにショックを受けて、落ち込んでいく様は、今までの明るい性格を知ってると、うそのように思えるけれど、初めての挫折というのは、やっぱり辛いですよねぇ。しかも、支えてくれる人はいないんですから……と思ったけど、やる気なく、ただただ生きていくだけの小魚児を、構ってくれる人が行く先々でいたってことを忘れちゃだめですよね。
見世物一座の看板娘・紅珠の思いに応えられないところは切ないですけど、それだけ小魚児の心に、鉄心蘭が深く刻まれたんだなあと思うと、早く再会してほしい気持ちでいっぱいになりました。
今回一番印象に残ったのは、小魚児が変わっていく様子ですね。今までは、悪戯好きで、ただただ騒ぎを起こしてるだけだった子供が、挫折を知り、胸の痛みを知り、人の温かさを知って、義侠心が生まれていくところが良かったです。弱き人たちをさりげなく守っていくところとか格好いいですよねぇ。
そんなとき、天下に名高い鉄無双が、悪人たちにハメられていくのを知ったら、しかも悪事を働く者が、表立っては善人として尊敬されてる連中だったら、そりゃ小魚児も義憤を覚えるよなあ。情報を集め、謀略を阻止すべく動く姿に、応援したくなりましたよ。
相手の謀略を次々と看破しながら、逆に相手をハメるべく策を練る姿は、やっぱ痛快だ。こういうところを見ると、復活してきたなあって気がしますね。
意外なところで意外な人と出会ったりしてましたが(九妹とか、黒蜘蛛とか!)、昨日の敵は今日の友という感じで、敵を倒すためなら、悪人だろうがなんだろうが、手を組めるところが、小魚児の強さだと思いました。花無缺じゃ絶対そういうことやらなそうな気がする。
おかげで大ピンチを迎えることになったけど……と思いきや、実は先の先を読んで逆転手を作っていたところに、大興奮!こっちからつなげてくるとは思わなかった!いったい、このだましあいは、どうなるっていくんだろう。
すっごいいいところで終わってるので、続きが待ち遠しくて仕方ないです。
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