花無缺(かむけつ)の手から逃れた小魚児(しょうぎょじ)は、なまめかしくも妖しい、ふしぎな美女と出会う。彼女に導かれるまま、地下深くに眠る宮殿へと足を踏み入れた小魚児。そこには、数々の仕掛けと謎に満ちた部屋がたくさんあり、女王にかしずく大勢の美少年たちがいた……。
ありとあらゆる悪の限りを尽くした悪人たちが隠れ住む悪人谷で、「十大悪人」に育てられたという少年・小魚児が繰り広げる冒険活劇の第二弾。今回は、花無缺の手から逃れた小魚児が、妖艶の美女に連れられて、謎に満ちた地下宮殿に足を踏み入れるお話です。
相変わらずの小魚児の悪童っぷりが痛快です。度胸はあるし、ハッタリのきかせかたはうまいしで、悪人どもが可愛がるのがよくわかる。今回は美少年を侍らす十大悪人が出てきましたが、小魚児を「皇后」にしようとするなんだから、気に入られっぷりが半端ないなあ。
口と態度でOKをしつつ、裏で画策するのはいつものことですが、今回はそこに「后」として侍らされていた江玉郎が絡んできたから、楽しかった。普段は卑屈なまでに下手に出ておきながら、裏の顔を見せたら、かなり冷酷というか残酷というか。1巻でも残酷な人はいたけれど、ある意味、裏表がなかったから、それほど嫌悪を抱くことはなかったんですが、江玉郎は、あー、いやだいやだ。
とはいえ、ピンチの時は小魚児を持ち上げて、自分に有利な状況になったら、態度を一変させるところは、見慣れてくると面白くなってくるんですけど。地下宮殿の八角形部屋で繰り広げられたやり取りは、どうやって殺すかという緊迫感あふれるシーンのはずなのに、コントのような面白さがありました。
なるほど、第二のライバルか。
その後も、姑息な江玉郎の策を、楽しげに避けていく小魚児という展開が続きましたが、どちらかというと、前作よりも小魚児本人の力で切り抜けたっていうのは少なかったかな?いや、江玉郎を相手取るときは、ちゃんと機転利かせてるんだけど、江玉郎に手を貸す者たちを相手にしたときは、どちらかというと助けられてるって感じだったので。
まあ、助けてくれたのは、小魚児を気に入った人ってことを考えると、一概に活躍してないとは言えないかもしれないけど。
ともあれ、今度こそは絶体絶命と思ったら、意外なところから助け舟が来て、おやおやと安心するのもつかの間、相変わらず、相手の隙を突くのがうますぎです、小魚児。僕だったら、完全にだまされてたよ。
前作の宝の地図の謎が解けたときは、思わずポンっと膝を打ってしまいました。
いやあ、面白かったなあ。
不満があるとしたらひとつだけ。
前作であれほど魅力的だった女性陣が、今回はほとんど出てこなかったことです。ああ、九妹が見たかった……。鉄心蘭も、最後のほうにちょこっと出番があっただけだったし、とても物足りないです。
ただ、ただ、その最後のちょこっとで、鉄心蘭はやってくれましたけどね!
好きな人のために体を張る姿には、思わず心打たれるものがありましたが、次に二人が出会えるのは、いつになるんだろう。
この巻から次の巻へは、三年の時が流れるようなので、それ以降なのかなあ。
次に鉄心蘭と会ったら、絶対離さないでほしいですね。
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