「力があることを、間違いだなんて認めてはいけない。みんな使いかたがわからない、接しかたがわからないから不幸な事故と誤解が起きるけれど、それは存在価値の否定には繋がらない。ギフトは……力は、持ち主が正しく扱えるもので、それを理解できればきっと、ギフト保持者が差別されるようなことはなくせるはず」
ギフトと呼ばれる超能力を持った子供たちが集まる特殊学校法人国立醍醐学園。そのギフトの力によって周囲に疎まれ、家族も崩壊寸前まで追い込まれた汐正幸は、妹と共に醍醐学園へとやってきた。そこで出会った天才少女・姿影那は、彼の力「パンツブレイカー」に興味を持ち、力を解明しようとするが……というお話。
なんだこれは(真顔)。いや、「半径二メートルにあるパンツを消去する能力」とかオバカすぎるだろと思いながら読んでたけど、どうしてどうして、意外と真面目な展開で面白い。
パンツブレイカーたる力なんてものがあったら、周囲の反応はどうなるか。考えてみたら、そうだよなあと思うことだったけれど、本人の意志ではどうにもできない力によって、人格まで否定されるとは、どれほどのことだろう。
負った心の傷は、決して小さくなく、それゆえに悩んできた主人公の諦めに似た達観と、それを支える妹の姿は、明るくも閉じたところがあったのに、おせっかい焼きな委員長が何枚もパンツを消失しながら関わってきたり、パンツが消えても気にしない動物的なアホの子・サンダー、そして彼を研究したいと言う影那によって、少しずつ学園生活を楽しむようになっていく、その心境の変化が良かった。
あとパンツブレイカーの研究も面白い。パンツが消える=物体転送、つまりは念動力で、といったところから考察していき、燃費の悪い力を無意識に、かつ適格(でもアバウト)に使っているのはどういうことかということをまじめに考察してて、いやまあ、結果はアレとしても、興味深いものがありました。いやはや、パンツブレイカー恐るべし。ただパンツが消えるというだけなのに、ブラックギフト扱いされるのもなるほどと思う。
治るものなのかどうかといったら……という力ではあったけれど、影那によってわずかでも道が見えて、そして彼女を信頼していくという展開は良かったなあ。大ピンチの時に切り抜けていくところはおバカだったけど。
でもこれで良い感じの人間関係が築けて……しまったら、今度は別の所が破綻しそうな予感がひしひし。今後どうなってしまうのかしら?気になるばかりです。
誕生日プレゼントとして贈ってくださったタカヒナさんに感謝。
パンツブレイカー (一迅社文庫)
神尾 丈治
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