恋は、楽しいだけのものだと思っていた。ドキドキして、夢見心地で、嬉しいことばかりで、悲しいことなどなにもないと思っていた。
こんなに苦しい感情があるなんて、知らなかった。
祖母の死に動揺し、魔法が不調になった15歳のリジィは、かつて祖母が住んでいたというローデンシュアのお屋敷で一人暮らしすることにした。ところが、そこには、魔力と結界に囚われた幽霊が六人もいて……個性豊かな幽霊たちとの騒動と恋を描いた物語です。
これはとても楽しかった。笑顔の絶えないルイと子どものエリオットは歓迎してくれるも、常に不機嫌なスーザン、騒々しいのが大嫌いなクライヴ、嫌味ったらしいオスカー、けんかっ早いフレッドたちには歓迎されず、何ともギクシャクした生活が始まるんですが、皆だんだんとリジィに惹かれていく様が見えていくのがわかって、とてもいい。
ちょっと怒りっぽいけれど素直で、でもこれまで魔女たちと生活してきたから一般常識をあまり知らない彼女は、なんていうか、見てて危なっかしいというと語弊がありそうだけど、エリオット以外の人たちは、みな妹を見るような目でみてる気がしました。学校へ通って友達作るんだとウキウキするリジィを心配そうな目で見て、落ち込んだときにはみんなで励ましてあげるとか、良いものでした。
そんな中、顔を合わせる度に喧嘩するフレッドとリジィの関係がちょっとずつ変わっていくのは、きゅんとしたなあ。学校で理想的な男の子に誘われて、浮かれてるところはとても少女っぽい微笑ましさがあるんですが、ふとしたときに気になるのは誰かと言ったら……ね。だからこそ、悪魔の囁きを忘れなかったんだろうなあ。
死んだフレッドのためにと動き、フレッドは余計なことと思い。すれ違いが不安を生むのは、悪魔や吸血鬼の登場があるからですが、そこで生まれる恋は、とても苦しくて切ない。それでも思いを巡らせた彼女が決断して、辿り着いたラストシーンはとても素敵でした。良かったです。
ローデンシュアの魔女―ハロウィンの夜に魔法のキスを (一迅社文庫アイリス)
神尾 アルミ
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