「あのね。世の中に『ありえない』ことなんてないの」
パフュームはお手入れの手を止めて、カナンに向き直る。
「いい?あんたがこれまで見てきた世界は、世の中のほんの一部でしかないの。淵では当たり前のことが、あんたの目にはとてつもなくおかしなことに見える。だけど、自分の知っていることが絶対の世界だなんて考えるのは、馬鹿の証よ」
東方の国の五人の皇子の呪いを解くことができるのは、奇跡の実のみ。西の都で植物を育む力を持つ大学生カナンは、奇跡の実を育て、皇子たちの呪いを解くために、東方の王宮で暮らすことになったが……というお話。
これは面白かった。何といっても淵国の皇子たちの個性が豊かすぎです。真面目な馬鹿、女嫌いの女好き、トカゲ、茶漬け、かわいい顔して野望の持ち主。一同に集まると騒々しいことこの上ない。彼らの面倒をみるパフュームさん(なぜかさんづけしてしまう)も、すごかったなあ。ただでさえ、異国の地ということで、文化の違いに戸惑っていたカナンが、さらに唖然とさせられる初対面&その後のやり取りが楽しかった。
五人はそれぞれ呪いを受けていて、普段は明るく(?)とも、実は苦しんでいるんですが、そんな彼らがカナンと触れ合うことで、ちょっとずつ変わっていく姿が素敵です。特に一番変わったのは、第一皇子の律でしょう。王族らしい尊大さと規律が命と言わんばかりの堅苦しさばかりだった彼が、カナンのおかげで、世界の広さと美しさを知って。ショックを受けながらも、感動が彼を動かしたことは良かったです。
皇子たちだけでなく、交流を経たことでカナンの心も変わっていきました。異文化コミュニケーション的なところもあったけれど、植物とちょっとした意思疎通ができて、養分を与えることが出来るという力がゆえに、阻害されてきた少女が、傍にいる人の行動に一喜一憂して、思いを自覚して行く様に、涙がじんわり。
最後はちょっぴり驚いたけど、心があったかくなって満足です。
それにしても、お茶の国が舞台になってるだけあって、読んでるとお茶が飲みたくなってくるなあ。
はなひらく 淵国五皇子伝 (一迅社文庫 アイリス り 1-5)
古戸 マチコ
関連エントリー
[古戸マチコ]
[一迅社文庫アイリス]
[ライトノベル]
Home > ライトノベル > はなひらく ―淵国五皇子伝― / 古戸マチコ
Trackback:0
- TrackBack URL for this entry
- http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/3742
- Listed below are links to weblogs that reference
- はなひらく ―淵国五皇子伝― / 古戸マチコ from booklines.net







