「絶対に、今度こそおまえを殺さないといけないのに……なんでいつもいつもいつもいつも失敗するんだ……もう覚悟は決めたのに、仲間のためにも、必ず殺すって……」
「まあそうしょげるな。惚れた相手をそうそう手にかけられるもんじゃないだろ」
「だからッ、そんなふざけたことばかり口にするなと!」
「残虐で悪辣な第二王子アルヴィンをこの世から消し去って欲しい」―持ちかけられた依頼を傭兵隊の隊長ははねのけたが、背に腹は代えられないと、隊長の娘であるエステルはこっそりと引き受けた。実践経験はないが、腕はたつと自負していた彼女は、第二王子の寝所に忍び込んだら、強引にキスされて……傍若無人な王子と殺し屋少女が繰り広げるダブル・エンゲージ「交戦」の部です。
これは楽しかった!
暗殺しようにも、相手が一枚上手で、どうにも届かないうえに、強引に唇を奪われて結局失敗し、二度目はメイドとして入り込んだものの、隙を突かれるのはむしろ自分で。殺せるチャンスがあるのにできない。相手の力を恐ろしいと思いながら、同時に待ち遠しく思う乙女心にキュンキュンする。
一方のアルヴィンは、悪辣というよりは守銭奴で、傍若無人さはエステルぐらいにしか向けてなく、しかもどう考えてもエステルに惚れてて(もちろんエステルは冗談だと思ってる)、ああもうこのやり取りが、たまらないですよ。
仲間を人質にとられて、どうしてもアルヴィンを殺さないといけなくなっても、やっぱり弓を引けない。そんなエステルをみて、手助けしようとしたら、弱みをつかれてるように受け取られてしまうアルヴィンは可哀相だなと思ったりもしないでもないですが、そんな二人にニヤニヤでした。
宮殿で亡霊が歩き回る呪いについても、呪術師であるアルヴィンと、霊媒体質というか、亡霊を見て乗り移らせることができるエステルが組めば、解決できないものはないと言わんばかりの痛快劇も良かった。最後の甘いやり取りも素敵だったし、このふたりのコンビはもっと見ていたいですね。
ちなみにカバーを外すと、エステル・ディアナの恋人自慢エピソードがありますよ。
企む王子は殺し屋と踊る―ダブル・エンゲージ (一迅社文庫 アイリス わ 2-1)
渡海 奈穂
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