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星灼のイサナトリ / 大樹連司

「あの人たち、洋くんを探しているんでしょう?洋くんを、あの高い塔に連れていってしまうんでしょう?洋くんは帰りたいんですか?」
洋は弱々しく首を振る。
「わたしだって嫌です。洋くんと離ればなれになんて、なりたくない」

砂に覆われた惑星テラ。ここでは、巨大建造物の中で生活する者と、自然の中で暮らす人々に二分されていた。徴兵から逃れるため、塔から外へと逃走した那取洋は、知り合いの原住民に拾われたが、さらにそこで謎の少女・いさなを拾う事になってしまい……砂漠の王者・鯨を狩る人々と、塔の軍の思惑が入り乱れるファンタジーです。

ほうかごのロケッティア(→感想)の著者さんの作品ってことで、手にとってみました。

面白かったです。荒廃した未来(=文明レベルはほぼ現在)なので、いろいろ想像はしやすく、パワードスーツを着た人々が協力しあって鯨を狩る戦いに挑む展開も熱いです。徴兵をきかっけに、リアルを追い求めて外の世界へと飛び出した洋は、いろいろ無謀なところもあるんだけれど、自分ひとりではなく、記憶のない少女・いさなを拾ったことで、責任感みたいなものを抱き始めるところもいいですね。

はじめは洋を拾った捕鯨船カジマヤーの一員であるミルファといい感じになるかと思ったのに、今のところいさなばかり構われてて、ちょっぴり物足りない僕がいる。っていうか、なにげにモテモテだよね、洋くん。幼馴染の弥生も気にかけてくれてるし……

その弥生がいる塔の中では、何かと不穏が動きをするからドキドキする。なんていうか、塔と外の関係は、都会と田舎……といったら語弊がありそうだけど、便利・不便、人のぬくもりなどに、いろいろ感じるものがあります。砂漠とはいえ船で移動するあたりから、外の人達は、言うなればウミンチュみたい。

住み分けられているとはいえ、目的のためなら手段を選ばない塔の、特に軍は、洋を追いかけ始めては、取り逃がしている状況ですが、ひとまず矛先を収めた……のかな。追求はこれからも行われるであろうけれど、個人的には洋の幼馴染である弥生の行動が気になります。砂漠に降りてきてくれたらいいんだけど……。

星灼のイサナトリ (一迅社文庫) - 大樹 連司

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