「王女殿下がこの町にこられたご用向きは、王宮に献上するための地図作りのはず。ご好意で言ってくださったのでしょうが、地図など、そう必要なものでもありますまい」
それには反論しなければならないとリーナは思った。
「地図は、誰にとっても必要なものよ。自分が生まれ、生きている場所の形を知ること。行ったこととのない場所に何があるのか、どうなっているのか、それを知ることはとても大事なことだわ」
星を眺めて地図を描くのが好きな第五王女リーナが、父たる王に、辺境の地マジェクの地図の作成を命じられたが、その地に赴く途中で襲われて……助けた傭兵ダール、侍女サラ、老騎士タルヴと王女リーナが、マジェクで陰謀に巻き込まれるお話です。
これは面白かった!
地図を作るという作業はとても地味なものなんだけど、白い地図がちょっとずつ埋まっていき、町の様子が見えてくる過程は、ワクワクするものがありますね。なるほど魅せられる気持ちが分かります。
地図を知らぬ子供たちが、リーナの手伝いをしながら、始めてみる自分たちの住む町の地図を作り上げたときの声が、今にも聞こえてきそうでした。
ただ、マジェクの地での地図作製が順調に進んだかと言えばそういう訳ではなく、姿を現さぬものからの襲撃があったりして、予断は許さないんですが、口喧嘩することはあってもリーナを守ることは、きっちり協力する三人がいい関係に思えました。この人の話芸ってのはほんと面白いな。
もちろん、リーナの性格あってこそだと思うけど、斜に構えていたダールが、好奇心旺盛で、明るく前向きなリーナに、いつの間にか手綱を握られてる感じがして、ニヤリとする。何気にダールはいい男ツンデレだ。
狙うものが罠を仕掛け、それに乗ったリーナたちをまさかの伝説が襲ってきましたが、ぎりぎりのところで逃げ切れたのは、芽生えていた信頼関係があったからですよね。
この先の旅路でも、きっと文句を言い合いながら、白い地図を埋めていくんだろうなあ。ああ、もっと読みたい。
次があるなら、地図作成方面をもっと多めでお願いしたいですね。
オススメ!
と書いてから、著者である川口士さんのブログで2巻が出ることを知りました。うれしい!
星図詠のリーナ (一迅社文庫)
川口 士
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