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[十文字青] ANGEL+DIVE 3.LOVENDER

夏彦くん。
あなたと出会えてよかった。
でも、こんなことなら、出会わなければよかった。

人を疑うことを知らない男子中学生・夏彦が、不思議と惹かれる謎の女性・トワコを襲う奇妙な事件に巻き込まれていくお話の第三弾。今回は、トワコが姿を消したことで、夏彦に変化が見える中、夏彦の姉・春の容態が突然回復傾向に向かって……というお話。

序盤から読んでて辛かった。トワコが姿を消したことで、夏彦の様子がいつもにも増してぼうっとしたものになり、周囲の人も夏彦の様子に気づきながらも、トワコのことを語らず、少しずつ少しずつ、ヒビが入るような、溝ができるような、そんな心のやり取りを見ていると、不安で不安でたまらない。幼馴染の思いを、気づきながら気づかぬふりをする夏彦の無神経っぷりには、心が冷える思いでした。いったいどうなってしまうのかドキドキしまくり。

夏彦方面以外で動きがあったのが、夏彦の姉・春と、夏彦の友人・工藤桜慈の関係でした。それまでも、どこか気にするようなシーンはありましたが、まさか桜慈がここまで惹かれていくとはなあ。女の人からしたら最低といわれてもしょうがない桜慈が、春の前では、初恋のようにドギマギして、真摯で。
夏彦とは別の意味で変わっていく彼の姿に、このふたりはうまくいってほしいと思う気持ちが生まれていきました。

淡々と進みながらも、じわじわと不安な気持ちが湧き上がってくる展開でしたが、そこで依慧がチラつかせた「エンジェルダイヴ」の仮説が、更なる不安を呼び込んでくるから困るんだ。これまで、どこか部外者だった「彼」も中に入ってきて、さらには「彼女」の様子に危うさが見えてきて。

それまで、ドライでドライで、ほんとドライに徹していた夏彦が、初めて見せた涙には、彼が自分を守るための心の壁を作っていたことを伝えてくれましたが、そこで現実となった「エンジェルダイヴ」には、もう……。
呼び寄せたのは悲劇が、生んだ心の傷は、どれほどのものか、想像を絶するものがあります。

いやあ、面白かった!丁寧に描写された人間関係が生み出す展開に引き込まれるばかりでした。
本作で1990年久尭市編が完結とのことですが、著者のブログによると「第2部を執筆しています」とのことなので、これからどうなっていくのか楽しみですね。

ANGEL+DIVE 3 (3) (一迅社文庫 し 1-3) - 十文字 青

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