チリンチリンチリンチリン。鈴音の手首で鈴が鳴る。それはいつだって、トラブルを告げる警告音。ひでえ目に遭うのは毎回、俺。ずっと昔からそうだった。たぶんこれからもそうだろう。
ほんっと、たまったもんじゃねーけどさ……。
でも、俺は、そんな騒がしい鈴の音が、実のところ、そんなに嫌いじゃあないんだよな。
年に一度の満月祭りを舞台に、幼馴染同士の恋や、先輩後輩の仲、親友の恋の行方、ちょっと変わった恋など、描かれるオムニバスストーリーです。
- 天然ドジっ娘な幼馴染の鈴音は、今日も今日とて問題を起こしてくれるけど嫌いになれない。ある日、友人とこそこそ何かやってた鈴音が突然満月祭り誘ってきて……伏見つかさの「月夜の晩に鈴は鳴る」
- 憎まれ口を叩いてしまうけど、鈍い先輩が気になる千紗。思い切って満月祭りへ誘おうと思ったら、美人な姉が先輩とお祭りにいくと言い出して……みかづき紅月の「オトメの黒き野望と小さな奇跡」
- やることなすこと全てが裏目に出る。占いによると、親友の手助けをするといいらしい。ならば、男っぽく見えても女の子な親友たまきの恋を助けてあげようと奮起した美里が、たまきにアドバイスをして……内田竜宮丞の「美里の恋愛指南塾!?」
- 女の子だけど、スカートがいやだってことで、男子の制服を着て学校へ通う真。突然、傍若無人な生徒会長に呼び出されたかと思ったら、何と告白を?女の子同士なのに……魁の「彼女の求めた真の愛?」
各話で登場人物が重なっているので、ちょっとずつ繋がりが見えるんですが、一番面白かったのは、一編目の「月夜の晩に鈴は鳴る」かな。鈴の思い出話とか、展開としては、思いっきりベタベタなんだけど、天然ドジっ娘な幼馴染が、ほわほわだけど必死にアプローチする姿が可愛くて、そのアプローチにまるで気づかない語り手の男の子はどうしてくれようかと思ったけど、本人は意識せず、周りから見たらバカっプルのようなやり取りが、気恥ずかしくなるほど楽しかったです。
たぶん、このくらいの長さだったから良かったんだろうなあ。
みかづきさんの「オトメの黒き野望と小さな奇跡」も結構面白かった。同じ部活のちょっと鈍い先輩を思いつつも、ちっこいことをコンプレックスに思ってる素直になれず、ついつい憎まれ口を叩いてしまう女の子の姿が、微笑ましく思える。後先考えずに行動してしまったり、きれいな姉がいることについて嫉妬に陥ったりと、もし側にいたら面倒な子かもなあと思いつつ、にやり。
ただ、時々、妙に女というか、性を思わせる描写があって、それがちょっと雰囲気に合わなかったかなと個人的に思ったり。
ほかの作品は、ちょっとイマイチだったので割愛。というか、どうせだったら、全部成就する恋物語だったら良かったのにと思う僕の中の乙女心。これからってところで終わるのは悪くないけど、恋が始まるんだかどうだかよくわからないで終わってしまうから、後半二編が物足りなく思ったのかも。
School Heart’s―月と花火と約束と (一迅社文庫 ん 1-1)
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