「いいか?恋というのは、どのような障害をも乗り越える力を持っているのだッ!!」
ギュッと拳を握り締め、夢見るような瞳で続ける。
「ひとたび恋に落ちてしまえば、たとえ貴様のような身分違いのヘンタイだろうと惹かれてしまう!恋する気持ちを想い出したなら、悠太と手を繋いだだけでもキュンキュンしちゃうことだろう!」
「そんなもんなのか……?」
「そうともっ!それが恋なのだッ!!」
高飛車だけど可愛いくて、でも貧乳な風紀委員長・龍凰院麟音と、おっぱい大好きなお調子者・月見里悠太。同じ学校という以外、接点がないはずの二人なのに、夏休みの間に、恋に落ちてしまったらしい。でも、その間の記憶がふたりともない。ってことで、麟音がつけてた日記を頼りに、記憶を取り戻すべく、擬似的にお付き合いを始める二人の物語です。
おっぱいという単語をこれほど目にする物語も珍しいんじゃないかしら。
ともあれ、楽しいなあ。付き合っていたという状況証拠こそあれど、まるで記憶がないため、お互い反発しまくるんですが、記憶を取り戻すべく奮闘する(主に雄太がさせられる)うちに、ラブコメが始まっていくところが、とても楽しい。
特に、恋愛に厳しい姿勢を見せていた麟音が、実は恋愛ものの小説・マンガ大好きで、いつか自分も……と乙女心満開に見せてくれるあたりが笑えます。なんたるギャップ。
初めはからかっていたものの、拗ねたり、照れたり、笑顔を見せたりする麟音を見て、貧乳に興味なんてないのにといいながら、ちょっとずつ惹かれていく悠太が良かったです。
一方、恋に恋してという様子だった麟音も、日記に書かれていたデート模様を再現しようとして失敗して泣きそうになっていたとき、さっそうと悠太が手を引いてくれたりしたことから、だんだんと惹かれていって。悠太がが具合悪くなったときは、かいがいしく看病をして、悠太の笑顔を見たら初めての料理に挑戦してと、もはや恋する乙女にしか見えず、でもツンツンして。
そんな二人が繰り広げる夏休み最後の一週間は、見ていて微笑ましい気持ちになるんですが、ただ、ギャグとか盛り上がり方とかが、毎回同じ感じなので、他にも山場がほしいなとは思ったりする。そういう意味では、ちょっと物足りないかな。
とはいえ、記憶が戻らないのであれば、今までどおりの関係に戻る、と、それだけのことであるはずの出来事に躊躇して、気づけば抑えきれない思いを抱えて彼女を追いかけるシーンが良かった。二度目だけど初めての……ね。
最後に素敵な笑顔を見ることができましたが、続編は学園内でのお話になるんでしょうか。これまで、他の人の恋愛を邪魔してきただけに、わが身に降りかかると、麟音がどう対処していくのか。楽しみですね。
女帝・龍凰院麟音の初恋 (一迅社文庫 か 2-1)
風見 周
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