かつて凄腕のハンターと言われたルークは、その過去を隠して、病弱だった妹のシャルフィと共に平和に暮らしていた。ある日のこと、彼の元へ、金の瞳と燃えるような赤い髪を持った美女がやってきた。ルークの過去を知っている女・レイリアが持ちかけてきた仕事は、なんと、この町のシンボル、女神ファルラの像に埋め込まれている「神の瞳」を奪うというものだった。盗賊の真似事はできないと突っぱねたものの、気づけば「神の瞳」を所有するアブリル教の騒動に巻き込まれるハメになって……
引退した凄腕のハンター・ルークと、お色気美女なハンターレイリアが遭遇する事件簿です。
富士見ミステリー文庫時代に一回読んでるんですが、やっぱり楽しいです。ルークとレイリアの掛け合いは、くすくす笑いが止まりません。ハンターとしての腕は、おそらくルークの方に分があるんでしょうけれど、機転と口達者っぷりはレイリアに分があり、さらには芝居をして見せれば、美女の涙にだまされない人なんていないので、いつだってルークが悪者扱いされてしまうところが楽しい。
そんな二人が、神の瞳……というか、そこへたどり着く「神の門」の鍵を巡って奪い合っていたら、なぜか法王に気に入られて、戴冠の儀に呼ばれるようになってしまうから、面白い。何気に、この法王も曲者のような、天然のような、まあ、いろいろあるんですが、そこで儀式として、門をくぐった法王が血まみれになって発見されて、というところから、ミステリー展開になっていきます。
密室とアリバイ崩しと、奇跡のからくりと。
疑いをかけられた人物が妹の友人ということで、シスコンなルークが、妹に頼まれて、しぶしぶ調査を始めるんですが、あっさりと解決したかと思ったら二転三転して、また振り出しに戻り……という展開は、面白いは面白いんだけど、ちょっとくどいかなと思わなくもない。
まあ、だからといって、シリアスすぎることもなく、ルークとレイリアの三文芝居やら、神官のくせにものすごい強いマーカスの暴走やらで、息抜き的楽しみはたくさんあるんですけど。
そもそもレイリアは、なぜルークを頼ってきたのか。そのあたりの謎も見せつつ、ちょっと恋愛要素もあって……。
夢を持って動く人の美しさとか、夢を失った男が再び立つところとか、ふたりの物語りも見せつつ、最後に、にやりとさせられる終わり方が素敵でした。ツンがデレになる瞬間最高だね!
それと、書き下ろし短編の「秘密の小箱」もよかった。ルークの妹・シャルフィとレイリアの出会いを描いたお話なんですが、シャルフィかわいい!レイリアがお姉さんっぽくて格好いい!と言いたくなるものがあります。きっとルークがいたら、憎まれ口の欧州になっちゃうんだろうけど、女の子ふたりだと、いい雰囲気ですよね。
いつか、家族となったときのふたりを見てみたいと思いました。
次は二ヵ月後に出るそうなので、大いに楽しみですね。
金の瞳の女神 (一迅社文庫 アイリス は 1-1 ルーク&レイリア)
葉山 透
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