「わ、私、ちょっと変、だよね?」
壊れる寸前の顔で、竜島は後ずさる。震える指で顔を指してくる。
― 私の顔に、なにかついているの?
頬に触れようとしたら、後頭部の髪の毛に触れた。
あれ。私、あべこべだ。
問題児たちを進級させるための救済プログラムとして、人里離れた辺境の村で、ボランティアをしよう。そんな慈善的ツアーに、問題児と、お手伝いの優等生、そして引率の先生の七人が、屋根も壁も真っ黒に塗りつぶされ、電気もろくに来ていない庫宇治村へと足を踏み入れたら……というホラー小説です。
村に入るまでの描写や村人の様子、そして村で育ててるアカモロなど、舞台設定を読んでるだけで、何が起こるのかワクワクしちゃうものがありました。さすがに四つの禁止事項は、どうかと思ったけど、禁忌があると盛り上がるものがありますよね。
ただ、それで期待しすぎたせいか、思ったほどでもなく感じてしまったのが残念です。
いや、人里離れた村の中で、買出しにいこうとして……とか、黒い雨が降ってきて……とかで、ひとり、またひとりと分断されていくところに、サスペンスなものがあるんですが、騒いでるうちに何とか切り抜けてしまうところがあるので、それほど怖さもないし……。こういうお話だったら、もっとジェットコースター的なものになってくれれば楽しめたんだろうけど、ちと物足りなかった。
とはいえ、恐怖に襲われたとき、今までいがみ合っていたクラスメイトたちが、手を取り合ったり、理性を失いながらも、最後の一線を守り抜いた家族愛などが描かれるところには、心惹かれるものがありました。まさか、「はわい」の最後にグッとなるとは思いもしませんでしたよ。
ってことは、結構気に入っていたのかもしれないなあ。たしかに、物足りなく思えたけど、楽しんでいた部分もいっぱいあったし。
いろいろもやもやしたものが残るので、著者の別の作品を読んでみたいな。
黒水村
黒 史郎
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