「ぼくは、何をすればいいのかな」
「あたしを忘れて」
「それが」
今度は声がかすれた。夏彦は軽く咳払いをした。
「それが、トワコさんがぼくにして欲しいことなの?」
人を疑うことを知らない男子中学生・夏彦が、あばら家で出会った女性トワコを忘れられず、姿を消した彼女を、幼馴染の女の子と、サイキックな力を持つ傍若無人な同級生(表紙の双子の女の子)と共に追っていく、みたいなお話です。
これは面白かった!何といっても夏彦の持つ独特の雰囲気が素敵です。
本当に素直で、起きる出来事をそのまま飲み込んでしまう性格は、たまにもどかしいものもあるんだけど、側にいるとホッとするような、そんな感じがします。幼馴染である希有との会話は、どこか不思議空間を作ってくれて、これがまた素敵だったりするんだ。
傲慢で自ら美少女と公言する真鳥姉妹のひとり衣慧が、夏彦を使おうとして、彼の素直さにペースを崩されて、友達になってしまうところとか、ほんと楽しい。
そんな夏彦が、あばら屋で隠れるように潜んでいたトワコと出会い、彼女の寂しさと感じたあとに「忘れてほしい」という言葉を伝えられて。それまでは、他のことに対して、無関心とまではいかないまでも、どこか静かなものがあっただけに、彼女のことを考え続ける姿は、印象に残りますね。
行方知らずになったトワコを探すうちに、同じようにトワコを探している組織があることに気づいていくんですが、ここから、不思議な力がだんだんと表に出てきましたね。希有の父、黒雪がハトルという占星術の一種を見せてくれてから、運命という名の歯車の歪みが見えて、いったいここで出会った人たちは、どういうものを背負うことになるんだろうと、いろいろ想像をめぐらされました。
そして再会のとき。
歩もうとしたものが沈みそうになったとき、あとから歩んできた人が手を差し伸べてくれる。その温かさに、じんわりくるものがありましたよ。このふたりには……と思ったシーンでした。
いやあ、面白かった。
最後の大ピンチのとき、某人が登場してかっさらっていったところには、思わず笑ってしまったんですが、今後もかの人が前面に出てくるのか気になるところです。っていうか、むしろ気になるといえば、10年後の模様替えがかれたところでしょう。どうなったら、夏彦がああなってしまうんだ?これから彼らを何が待ち受けてるんだ?
続きが非常に気になります。オススメ!
ANGEL+DIVE (1)
十文字 青
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