「正直、最初はどうしてこうも何もかもうまくいかないんだろうと苛立ってた。けど、人が集まって真剣なやりとりをすれば、いろいろあるのは当然なんだと私は思うようになった。なあなあでやり過ごしてどうにかなるほど、三校合併は甘くないんだよ」
葛城さんは、目を逸らさない。
「私はすごく苦しいよ、向坂。いつも苦しい」
そこだけ聞けば、弱音とも取れる言葉なのに、声は強く語調は淀まぬまま。
「でも、それは産みの苦しみだと信じている」
金魚姿の土地神・水穂が土地を護る力を得るには、みなが諍いなく過ごさねばならない。ところが三つの高校を合併したら、それぞれの生徒会たちはぶつかり合うばかり。我が強い二校の生徒会に振り回され、泣き言をいいながら、平凡な男・向坂が間をとりなす学園物語の第三弾。今回は、突然一ヶ月も前倒しで開催されることになった文化祭に、生徒会が一丸となって取り組むお話です。
こういう三角関係というか、届かない思いって、胸が痛くなりますね。玉砕の気まずさから逃れるために、文化祭に力を入れていく恵の様子が痛々しい。吹っ切れてないから尚更で、さらには四月と鳥越までギクシャクするから、いったいどうなるのかとハラハラしました。つい賽を投げてしまったところなんて特にね。
とまあ、恋愛模様は気になるところですが、一方の文化祭方面は、もっと面白かった。
そもそもの文化祭システムが違うし、人が集まれば催し物もかぶるし、ひとつしかない体育館のステージに群がる人も多い。
初めてのことでトラブルも多く、間違えることもあるし、自分の都合を中心に考えてしまうこともある。それでも、衝突しあいながら、過ちに気づき、一歩ずつ進んでいく、乗り越えていくところが、とてもよかった。こうやって信頼って育まれていくんだなと思った次第です。
皆が一致団結してひとつのことに取り組む楽しさや、お祭り模様、終わったときの感極まる思いに、こちらまで引き込まれるものがありました。ああ、生徒会って大変だけど、すごいなあと今更ながらに思う。
文化祭の脅しのところは、ちょっとアレなんだけど、ここで四月さんの思いがはっきり見えたのは、恵にとって辛くともいいことだったんじゃないかな。自分の思いは大切だけど、それ以上に相手が誰を思っているかということのほうが大切だから。
それにしても、中盤に葛城さんがとても可愛く描かれていたのが、こんなところで繋がってくるとは思わなかったなあ。いろいろ大変かもしれないけれど、もうひとつ恋が始まりそうで、楽しみです。
創立!? 三ツ星生徒会3 それでも恋3は終われない
佐々原 史緒
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