顔を上げると、森は夕日の中に溶けてしまいそうなほど、真っ赤になっていた。
胸の鼓動が、金の音のように大きく鳴り響く。
驚くオレの目を、恥ずかしくてたまらなそうにじっと見つめたあと、小さく笑って言ったのだった。
「……反町くんの下の名前、呼んでもいい?」
まさに「恋する」ですね。琴吹さんの親友にして明るくお節介な森ちゃんと、森ちゃんに恋する反町くんのお話を中心とした短編集です。普段だったらタイトルをならべるんだけど、ととても長くなるので省略(一編一編がそれほど長くないからね)。
なんといっても楽しかったのは、森さんと反町くんの恋模様でしょう。
森さんのことが気になって仕方ないのに、琴吹さんをみてると誤解されて、ようやく付き合うようになっていい雰囲気に持っていけても、なかなかキスできないと嘆いたりと、本人が必死であればあるほど、読んでる身としては楽しくなってしまうんです。
毎回毎回ちょっとした喧嘩をして、でも森さんだって本当は……ってのが見えてくる展開がとてもよかった。
そんな二人のお話は楽しかったけど、やられたのは、琴吹さんが主役となるお話です。なんですか、この可愛さは!恋日記の乙女っぷりに悶えるばかり。カレンダーの一行に、ノートの片隅に書いた言葉に、心葉を前にしたときの心境に、ちくしょう心葉めと思った僕がいる。
琴吹さんの性格上、恋の行く末を知っているが故に、読み進めるに連れて辛くなるところもあったんだけど、琴吹さんに親友とその彼氏が傍にいてくれたのは、ほんと良かったですよね。支えてくれる人が、抱きしめてくれる人がいたから、前を向くことができたんだろうなと、そう思いました。
読んだ後に、手をつないだ琴吹さんの嬉しそうな顔と、心葉とのやりとりという、在りし日を思わせる巻頭カラーを見ると、切なくてたまらない。
いやあ、ほんと良かったなあと思いながらも、間に「おやつ」として収録されてる心葉くんの災難話は、フリーダムすぎてどうしてくれようかと思ったのは内緒である。
“文学少女”と恋する挿話集 2 (ファミ通文庫 の 2-7-2)
野村 美月
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