Home > ライトノベル > [野村美月] “文学少女”と恋する挿話集(2)

[野村美月] “文学少女”と恋する挿話集(2)

顔を上げると、森は夕日の中に溶けてしまいそうなほど、真っ赤になっていた。
胸の鼓動が、金の音のように大きく鳴り響く。
驚くオレの目を、恥ずかしくてたまらなそうにじっと見つめたあと、小さく笑って言ったのだった。
「……反町くんの下の名前、呼んでもいい?」

まさに「恋する」ですね。琴吹さんの親友にして明るくお節介な森ちゃんと、森ちゃんに恋する反町くんのお話を中心とした短編集です。普段だったらタイトルをならべるんだけど、ととても長くなるので省略(一編一編がそれほど長くないからね)。

なんといっても楽しかったのは、森さんと反町くんの恋模様でしょう。
森さんのことが気になって仕方ないのに、琴吹さんをみてると誤解されて、ようやく付き合うようになっていい雰囲気に持っていけても、なかなかキスできないと嘆いたりと、本人が必死であればあるほど、読んでる身としては楽しくなってしまうんです。
毎回毎回ちょっとした喧嘩をして、でも森さんだって本当は……ってのが見えてくる展開がとてもよかった。

そんな二人のお話は楽しかったけど、やられたのは、琴吹さんが主役となるお話です。なんですか、この可愛さは!恋日記の乙女っぷりに悶えるばかり。カレンダーの一行に、ノートの片隅に書いた言葉に、心葉を前にしたときの心境に、ちくしょう心葉めと思った僕がいる。

琴吹さんの性格上、恋の行く末を知っているが故に、読み進めるに連れて辛くなるところもあったんだけど、琴吹さんに親友とその彼氏が傍にいてくれたのは、ほんと良かったですよね。支えてくれる人が、抱きしめてくれる人がいたから、前を向くことができたんだろうなと、そう思いました。

読んだ後に、手をつないだ琴吹さんの嬉しそうな顔と、心葉とのやりとりという、在りし日を思わせる巻頭カラーを見ると、切なくてたまらない。

いやあ、ほんと良かったなあと思いながらも、間に「おやつ」として収録されてる心葉くんの災難話は、フリーダムすぎてどうしてくれようかと思ったのは内緒である。

“文学少女”と恋する挿話集 2 (ファミ通文庫) - 野村 美月

“文学少女”と恋する挿話集 2 (ファミ通文庫 の 2-7-2)
野村 美月

エンターブレイン(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[野村美月] [“文学少女”シリーズ感想一覧] [ファミ通文庫] [ライトノベル]

Home > ライトノベル > [野村美月] “文学少女”と恋する挿話集(2)

Trackback:2

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/3255
Listed below are links to weblogs that reference
[野村美月] “文学少女”と恋する挿話集(2) from booklines.net
「物語」を読んでもらえない彼女/野村美月『“文学少女”と恋する挿話集2(エピソード)』/感想/ファミ通文庫 from かもめは本を読まない。 2009-09-09 (水) 09:43
 それでも私は彼にずっと恋していた。  一気に二度読みしてしまった。前回の初戀といい、超傑作が続くなぁ。作者さんのライフワーク的作品になっているんだ...
“文学少女”と恋する挿話集 <2> from お亀納豆のライトノベルまっしぐら 2009-09-09 (水) 10:58
著:野村 美月 イラスト:竹岡 美穂 「今まで世話になりました。先輩が教えてくれた、ハイネも、バイロンも、中也も、タゴールも、すっげーいい詩ばっかりだっ...

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > [野村美月] “文学少女”と恋する挿話集(2)

Search
お気に入り

異形の王子と毒を吐く少女の恋の物語

4048700588

他人を寄せつけぬ毒を載せた言葉を吐いていた少女が、王子と伝承と出会ったことで、信じる思いを紡ぐようになる、その祈るような思いに涙しました。懐かしき人たちとの再会もまた素敵。→感想


それは血の繋がらない家族の物語。

4048700480

大きな山や谷があるようなお話しではないんだけれど、クセのある七人のきょうだいが共に暮らすその家には、じんわり温かい家庭がありました。それぞれ抱えているものはあるけれど、この家族ならきっと支え合いながら乗り越えてくれると信じてる→感想


それは「夢利き」が語る人の夢の物語。

夢の上(1) 翠輝晶・蒼輝晶 多崎礼

最高傑作級!辛くとも好きな人と共に歩める幸せ、あるいは人の夢に乗る幸せと切なさ。独立しながら、リンクする物語は、温かさに、人を想う気持ちに満ちあふれて、胸が熱くなる。人が人と出会うことの素晴らしさは、時に眩しくもあり、切なくもなるんだなと思いました。→感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top