そうだ。諦めたりなんかできなかった。諦めた振りをしていただけだ。押し込めて押し込めて、祝福して。それなのに。
「君はなんにもわからないくせに、どうしてあたしさえ気づかないでいる、あたしの気持ちに気づいてくれちゃうんだろうね……」
孤児同士で切り盛りしている冒険宿屋「極楽鳥」。不器用が故に役立てないリュッカは、新米ハンターとして森をかけずり回っていたが、ある日森の奥で伝説のゴーレムにして魔法兵器「装神」を手に入れて……心を持たぬ「装神」リーンがリュッカと出会って心を知っていく物語。
新米ハンターがいきなり最強の武具を手にいれてる始まりは、ものすごいチートに思いましたが(どんな怪物相手でも余裕で倒せるようになるから)、それはともかく、強くなり、それまで見下してた人たちを見返せるようになるにつれて、だんだんと周囲から疎まれていくところは、わかるようで……うーん。
単に「装神」に嫉妬してるだけのようにも見えて、いまいちすっきりしませんでしたが、役に立てないがために、どこか卑屈なところがあったリュッカが、周囲を見回すことを覚えて、人を思いやる気持ちを育てていくところはよかったです。
一方のリーンはただリュッカを守るためだけに動いてたんですが、彼女と共に過ごすうちに、だんだんと「心」を得ていくところに、何ともいえない思いを感じますね。砂塵嵐のギョエちゃんのハッパも効いてたよなあ。何気に一番の功労賞はギョエちゃんかもしれないと思う僕がいる。
失恋した思いと、そんな失恋模様を間近に見て痛めた心と。
解っていてなお抑えられない気持ちは、時に卑怯と言われる思いに捕らわれることもあるけれど、幼い自分の淡い思いが、本当に向いているのはどこかと言うところに気づいていき、前を向くところは良かったと思います。
ただ、悪役としてでてきた男の扱いがちょっとなあ。なんていうか、もっと大きなことをしそうに感じてたのに、たんなる小悪党で、しかも……ねぇ?もうちょっと、こう、最後まで貫いてほしかったと思わなくもない。
まあ、彼のおかげで、リュッカとリーンの心の繋がりが見えて、最後に素敵なプレゼントが舞い降りてきたからいいか。
千年守護者 ~いにしえの銀 とこしえの恋~ (B’s‐LOG文庫)
真朱 那奈
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