「ウメ婆ぁを独りにしたかないし、この村がむちゃくちゃになるのも嫌だ。だからあたしの答えは、ホントに簡単」
そう、簡単だ。もう自分を見失ったりなんて、するものか。
「ふざけやがって!ブチのめす!そんだけだ」
幼い頃から不幸の連続を浴びてヤンキーになったら、両親が他界し、引き取ってくれた祖母が宮司だったために、穂倉梓は巫女をやることに。そこへクラスメイトとなった染井良信が父を探してほしいと頼み込んできて……というお話。
これは楽しかった。
ヤンキーといいながら、確かに言葉遣いは悪いんだけど、根が優しいのであまり強く反発できず、お婆ちゃんにボロクソいわれながら巫女修行する様が楽しかったりする。
しかも、ヨシノこと染井良信がまたいい性格してくれてるおかげで、頼まれごとを断ろうとしたら……ってところに、ニヤニヤしっぱなしでした。やべー楽しー。
そんなコミカルさも、この土地で行われる祭り話が出てくると、一転シリアスに。
村史に隠された謎から、自分の身に何が起きるのかという不安が生まれたりするんですが、そこを支えるから、ヨシノ良いところあるぜ。
同じようにしてヨシノも迷う場面があったりするんですが、そのときは、梓が支えていくからいいコンビです。
奉られた土地の神様の謎を解き、利用してる悪ものがいたら、勢い叩きのめそうとするあたりに若さを感じますが、いやはやどうして、まさかのロジック&サイエンスで切り抜けていくとは思わなかった。だてにメガネじゃないですね、ヨシノ。
いやあ、面白かった。
名前にコンプレックスを持っていた梓が、誇らしげに名乗るところとか、家族への想いを感じられるところが、いろいろあって良かったです。
民族学なお話っぽいところもちらほら出てて、くすぐられるものもあるし、何より、二人の距離が縮まって、想いが見え隠れするところがいいですね!最後の最後で素直じゃないから、はっきりと口に出したりはしませんでしたが、いつかきっと……なんだろうなあと思ってニヤニヤしました。
これはぜひとも続きをお願いしたいところですね。
第11回えんため大賞ガールズ部門奨励賞受賞作。
ヤンキー巫女逢桜伝 (B’s‐LOG文庫)
夕鷺 かのう
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