まるで自分も子どもに戻ったような気持ちになり、鹿之助は思わず雛の肩を抱きしめてしまう。剣を合わせているときは男顔負けの馬鹿力で押してくるというのに、さっきも今も抱きしめた体がずいぶんと華奢なことに気づき心が穏やかでなくなる。
(落ち着け。これは、雛だぞ。妹のようなものだろう)
評判が良かったので手を出してみました。
剣道場の娘に生まれ、負けん気の強い雛と、几帳面で口うるさい鹿之介。幼なじみの二人が、松尾芭蕉の旅路に、こっそりついていったら……というお話。
これは楽しかった! 世間知らずで人を信じやすくて、猪突猛進な雛からしたら、何かと文句を言ってくる鹿之介に閉口してたのに、だんだんだんだん頼ったりして。一方の鹿之介は、妹のような存在だった雛が、不意にみせる女らしさにドキっとしたりして。複雑な乙女心とツンデレな男心が見せる二人の距離感がとてもステキ。
とまあ、ふたりのやりとりもさることながら、芭蕉とともに行く奥の細道な描写も素敵だったりするんだなあ。ああ、一緒に旅したいと思ったことが何度あったか。
旅先で出会いがあり、楽しいからこそ別れが寂しい。でも、それが旅の醍醐味なんだと、そう思える過程がとてもよかったです。お互い自分にないものを相手の視点で見つけて、成長し合っていくっていいですね。
それにしても芭蕉は何かと隠し事をしているおかげで、時にふたりの周りに危険が生じたりしてますが、はたして無事に目的地までたどり着けるのかしら?
続きが気になります。
雛のほそみち ~青葉若葉の恋道中!~ (B’s‐LOG文庫)
小川 いら
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