「九つあったプリンを、ここにいる私たち八人とあやめさんでひとつずつ食べれば数はピッタリ合う。そうよね?」
角井先輩が真子先輩にズイッと顔を近づけました。真子先輩は笑顔を引っ込めようと努力しながら「そうでーす」と答えます。
「それじゃあ、どうしてひとつ足りなくなったの?私はまだプリンを食べていないのよ!」
ビバ青春の無駄足。学校の階段を疾走する「階段部」のお話の第十弾。
今回は、学校のアイドルを選出する「女神委員会」や天ヶ崎家で催されたお泊まり会「夜明けの階段」、冷蔵庫にあったプリンを食べたのは誰?「プリンはどこへいった?」、美冬と幸宏の幼い頃、サンタはいると信じた二人の「サンタ同盟」、父の実家を幸宏が従姉たちと訪れる「盂蘭盆会」の五編からならなる短編集です。階段レース無しです。
読んでると、幸宏の隣に来るヒロインは、美冬姉さんなんだろうなってのが伝わってきます。ツンとしているけど、ちょっとした動作や一言で、幸宏の心を持っていくんだから、ニヤリとさせられます。「夜明けの階段」でのラストは、イラストもステキで惚れ惚れです。
美冬も一緒に出かけるときは、さりげなく気合い入れてるようで、まったくお似合いですね。もうちょっと打ち解けてくれたら最高なのにと、じりじりしながら読んでました。
個人的に一番好きなお話は「夜明けの階段」かな。体育祭の興奮覚めやらぬ夜に、天ヶ崎家にみんな(女子限定)でお泊まり会をするお話なんですが、いずみのお嬢様っぷりに驚きつつ、かしましい女の子たちのやり取りに頬をゆるませてと楽しさ満載。特にいずみが美冬に対しては積極的で、意外に思いつつ新鮮さを感じました。こういう同級生ならではの距離間がいいです。
幸宏は男だけで集まってワイワイやってましたが、くだらねーと思うようなことでも、皆で集まるとやってしまうような勢いってのが、なんか、わかるなあ。こういう無駄な青春シーンがとても好きです。
いつものような疾走感はないけれど、「階段の踊り場」としての面白さはありました。どうやら次が最終巻らしいので、どうやって締めくくるのか楽しみです。
学校の階段の踊り場 (ファミ通文庫)
櫂末 高彰
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