「ここは、どこ?」
桐緒は、どうしても思い出すことができなかった。
花の名前も、
「あたしは……、誰?」
自分の名前も。
貧乏道場の一直線娘・桐緒と、クールな九尾の狐・紗那王とが繰り広げるドタバタラブコメの第八弾。今回は、記憶を失った桐緒を藤間の元へと連れゆく鈴蜜と、桐緒を探そうとする紗那王を引き留めるべく、大王の差し金が寄り添ってきて……というお話。
やばい。超やばい。
桐緒を探しにいけず、悶々としているせいか、紗那王の桐緒を想う言葉が、とんでもなく甘いです。照れる様子をまるで見せることなく、「桐緒の唇は水菓子より甘い」とか言い出すんだから、こそばゆくてしょうがない。はやく桐緒を側におかないと大変なことになりそうだ。
肝心の桐緒は、鈴蜜の罠のおかげで記憶を失い、鈴蜜に面倒をみてもらってるんですが、藤間への手みやげとして、桐緒と接していた鈴蜜が、時々チクっと心を痛める姿が印象的でした。そりゃ、あそこまで全幅の信頼を寄せられたらねー。しかも、無邪気なまでの笑顔がほんと可愛いから、仕方ないよなあ。鈴蜜の心の内は、今後のキーになってくるのかしら。
そういえば、今回は藤間の過去も語られていましたね。頑ななまでに武士道を見つめ、桐緒の笑顔を見守りたいとする姿は、とても不器用なものを感じました。いい青年なんだけどなあ。純粋な想いが高じて、力のなさを感じて……狐に心を委ねてしまうところが痛々しく思える。彼が心を取り戻すことはあるのかなあ。
残念ながら今回のお話で区切りはつきませんでしたが、桐緒と紗那王のそれぞれに、別の人が寄り添っている状態なので、早いところ動かないと取り返しのつかないことになりかねなそう。
桐緒の思いに期待するのもいいけど、紗那王、ここは君が動かないと!
お狐サマの挑戦状ッ! (B’s‐LOG文庫)
かたやま 和華
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