「理恵。俺はまだ、お前の主人公か?」
「あなたの世界を変えてみませんか?」― 一通の迷惑メールに反応して、お気に入りのギャルゲーの世界を体験したいと願ったら、現実の世界はそのままで、毎朝迎えにくる幼なじみ、学園のアイドル、優しい姉、甘えん坊な妹(どちらも義理)など、ゲームの世界の女の子たちが、武紀の日常に入り込んできて……というお話。
これは面白かった。
幼なじみが朝起こしにきたり、ドジなお姉さんに抱きつかれたりと、ゲームの中でしかありえないようなお約束満載なシーンがいろいろでてきましたが、ゲームをクリアしてる武紀からしたら、どういう反応をすればいいかってのがわかっているので、ゲームの主人公のようにクールにふるまおうとしつつ、でも内心ドキドキだってのが伝わってきて、ニヤニヤさせられます。むず痒いやりとりとかあって、あー楽しい。
でも、どうしたって現実とゲームの中では異なることが生じてきてしまい、特にゲームの場合だったら、攻略する対象だけに注目していればいいんだけれど、現実となるとすべての女の子たちにトラブル(というかシナリオ)が発生してしまうので、だんだんと手に負えなくなり、さらにはゲームにはなかった展開すら生まれてきてしまって、どうすればよいのかわからず、女の子たちから距離をとってしまう武紀の姿に弱さともどかしさを感じました。
でもそんなときにハッパをかけてくれたのが、その女の子のひとりで。
現実はシナリオどおりに進むことはないけれど、ならば自分で動いていけばいいじゃないかと、走り出す武紀が良かったです。
ただ、最後の選択はちょっと微妙に思いました。あそこはみなの幸せな笑顔を胸にしておいてほしかったなあ。
っていうか、あんな素晴らしいツンデレな女の子がいるんだから、むしろそっちを……と思った僕のほうが微妙ですね。はい、すみません。
第10回えんため大賞優秀賞受賞作。
ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! (ファミ通文庫)
田尾 典丈
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