「少しは絶望を味わっているかしらね。でも、それだけじゃ足りないわ。やっぱり雪風も大事な人を失うべきなのよ」
「向こうも気づいているだろう、お前のやりたいことに」
「でしょうね。それでいいのよ。どんなに警戒しても守りを固めても崩されて、大事なものを奪われてしまう。それでこそ絶望の価値があがるわ。そういうものでしょう」
思春期の少女が持つアムニスという精神体を武器として、謎の生命体ラルワを倒すことを学ぶ高校に通う少女たちの物語の第六弾。ラルワの指揮者の招待が教師陣に知れ渡る中、立ち直る気配のない雪風を前にして、佑鹿がある決意をするお話です。
一年しかおらず、死者を出し、さらには監督生である五十鈴まで不在のため、章義舎の様子は浮き足立っていましたが、佑鹿が副監督生になってからそこそこ落ち着いたのは、今まで彼がなしてきたことの信頼感と、からかうネタがあったからでしょうね。追い詰められた状況の中、パニック等に襲われずにすんだことが、この寄宿舎で一番良かったことかも。
佑鹿の雪風に対する献身っぷりは、なかなか妬けるものがありますが、本人は気づいてないところがまた憎らしい。あれじゃ、好意を持ってる人たちも、あれじゃなかなか手を出しにくいよなあ。だから好意をチラつかせながらも、本音は見せない、そんなつかみどころのないやり取りが生まれるのかもしれません。
それはそれで楽しいけれど、やっぱり大事な人という思いはあるもので。
今回一番印象に残っているのは、佑鹿の身に降りかかる話を上層部から聞いたときの五十鈴の叫びですね。佑鹿に近寄りつつも、どこかつかみどころがなかった五十鈴でしたが、あの強い言葉には、彼女の思いが込められていると思いました。
彼女の言葉を聴いたからこそ、佑鹿も自身の危険を承知しながら「決意」をしたんじゃないかしらと、そう思います。
いやあ、面白かった。途中までは、もうちょっと話の進み方が早いと嬉しいかなと思ってたんですが、ラストを読んだら、そんな思いもなくなりましたね。章義舎の子たちが、心から思ってくれているであろう「弥栄」の声に、じわりと涙しながら、この巻があってよかったと思いました。
いつかまた戻ってこれますように。
戦嬢の交響曲6 (ファミ通文庫 つ 2-2-6)
築地 俊彦
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