「よく覚えておくんだ。〝楽園〟に旅立つウォーライクは、たったひとつだけ、ロードの願いをかなえてくれるんだよ」
「え……?」
「ウォーライクとロードの関係は一方的な片利共生じゃない。ロードにも危険と引き換えに手に出来る大きなものがある」
行方不明である父親の唯一の手がかりである十歳児ぐらいの少女・クリスは、実は妖精だった。普通の高校生である宮本伊織が、妖精と妖精を従える「鞘の王」たちが繰り広げる「ウォーライク」に巻き込まれるシリーズの第二弾。今回は伊織の前に学園のヅカな「王子」こと大路常葉が「鞘の王」であることを告げ、さらに「薬子先生を信用するな」と言い出して……というお話。
相変わらずクリスがかわいいなあ。他のウォーライクと比べても、ちょっと幼い感じがしますが、伊織のクラスメイトであるさおりを前にして、ちゅーしようとする無邪気さがたまりません。まあ、伊織からしたら疲れ度合いが増加するかもしれませんが。
今回新たに、学校の先輩である大路常葉が鞘の王として現れましたが、これが恰好いいんだ。そりゃ「王子」扱いされちゃうよなあと思ったりもするけれど、時折少女趣味を見せてくれるので、うふふとなってしまう。
そんな彼女が投げかけた疑惑は、なるほど確かに怪しいものではあるものの、だからといって何ができるわけでもないので難しいですよね。ほかに頼れる人がいるわけでもないし、今のところは特別何をしたわけでもないし。
とはいえ、薬子自身、疑惑を増加させかねない行動を取るから困りますが、それでも、決して言葉や疑惑にとらわれることなく、自分の判断として、先へ進もうとする伊織の姿が印象的でした。
それにしても、鞘の王とウォーライクの関係は、きついものがありますね。願いがかなうというエサは、時に人を狂気に追いやることもあって、なんともやるせないものがあります。ただの悪党であれば……というのは、自己満足でしかないのかもしれませんが、戦わなければならない人たちの心の重さを感じました。
今回は、薬子の強さや、クリスのちょっとした力や伊織の特異性など、いろいろ見えてくるものがありましたが、どちらかというと繋ぎの巻って感じかな。黒幕の存在が見え初めてきたので、何か仕掛けてきそうですね。
いろいろ不安ではありますが、続きを楽しみにしていたいと思います。
彼女は戦争妖精2 (ファミ通文庫)
嬉野 秋彦
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