「ああだからこうしたい、こうだからああすべきだと言われたって、俺にはわからん。人間は考え方が違いすぎる」
呆れきったメリルの声音に、スウェンは叱られた気分で身を縮める。
「だが理解できないからと言って、お前の気持ちを無視するつもりはない。うじうじぐずぐずめそめそしないで、希望を言え。やりたいことを選んでからそれを叶える方法を探せ。できるかできないかなんて先に考えてたら、何かする前に寿命が尽きるぞ」
魔法学校を追い出された落ちこぼれの魔法使いスウェナと、人型になれるドラゴン・メリルの恋物語の第二弾。今回は、メリルの住居を訪れたら、そこにはたくさんの愛人がいて、自信をなくしていたら、魔法学校時代の先輩・ユールがスウェナに魔法学校へ戻ってきてほしいといってきて……というお話。
そりゃ、自分よりも美しい人たちがお城にいたら、拗ねるよねぇ。かつて愛人がいるのはしょうがない……と割り切るには、まだまだ若いスウェナからしたら難しいし。そんなスウェナの乙女心が理解できず、振り回されるメリルの様子が面白かったりします。まあ、メリルはメリルで、ユールと楽しそうに話をするスウェナを見て、嫉妬メラメラしてましたけどね。
大げさなものではないですが、外から見たらのろけてるようにしか見えない、愛するものたちのすれ違いがいい感じでした。
ただ、当事者二人がいい感じになっていたとしても、周囲の者がそう思わないのは異種間ならではなんですが、彼女の心配をして、というのならまだしも、彼女のことを心配することにかこつけて、自分の闇をぶつけようとする者がやってくるあたりが、嫌らしいですね。たまたま二人の間に若干の隙間が生まれたところを突かれて舞い込む悲劇は、スウェナに新たな命がやどっていただけに、やるせないものがありました。
ふたりだけでなく、母国にまで及ぶ危機が及ぶあたり、いったいどうなるかと思いましたが、スウェナの秘密が明かされたことで、自らの力を自覚して、さらには愛するものたちが、かつて愛した人が作り上げたものを利用して、平和を取り戻していくところは、温かいものを感じました。歪んだ心を持ったものもまた、救われそうな未来が見えてほっと一息。
最後がまたいいんだなあ。子供を前にして笑い合う二人の姿に、頬が緩むものがありました。さて、ふたりの子供たちは、どちらの道を選んでいくのかわかりませんが、両親みたく素敵な相手を見つけてほしいですね。
失恋竜と契約の花嫁 -永遠の約束- (ビーズログ文庫 わ 1-5)
渡海 奈穂
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