「……みんな見てんだけど」
「私は気にしない」
「鼻水つくぞ」
「私は気にしなーい!」
「気にしろよ」
「悔しいなら、悲しいなら、きみはそれ以上に幸せになる権利がある。ねえわかる?」
奉仕活動として、「善き隣人」こと妖精にまつわるトラブルを解決する相談センターの助手を勤めることになった問題児の少年キーチの成長物語です。
これは面白かった。プロローグは、なんだがごちゃごちゃしてたんだけど、見た目はおこちゃまな所長のディアナ、男装の麗人にして貴族のルチアナ、準相談員のメイド姿な無表情娘メアリー、やる気なさ全開の事務員アニーという、相談センターの面々のおせっかいっぷりやら性格が、一話ごとに見えてきて、地元で仲間に裏切られてことで、人を信じることにおびえていた少年キーチが、少しずつ他人の温かさをしっていく展開が、とてもよかったです。
はじめは嫌悪を抱き会っていたメアリーとキーチの間に、ちょっとずつ、お互いを気になりあう要素が見えたりして、すっごい嬉しくなっちゃうものもある。
第1話はキーチとディアナの交流を、第2話は、キーチの初仕事とルチアナの交流を、第3話はキーチとメアリーがコンビを組んで仕事を、第4話はキーチと相談センターみんなの信頼を感じるお話で、各話の間に「エトセトラ」として、サブで動いてた相談員たちの内心が明かされたりするから、こう、伝わってくるモノがあるんですよね。
個人的に好きなのは、第2話「家主にまつわるビスケット」ですね。口説きの妖精「ガンコーナ」が、女子寄宿学校の周辺をうろついてるって問題があって、キーチが抜擢されたけど、なんと女装して囮捜査をすることに……っていうお話。
ルチアナの貴族っぷりが笑いを誘ってくれますが、何といってもすばらしいのは、仕方なしに囮を引き受けたキーチが、ガンコーナへ突きつけた言葉でしょう。
「いいかよく聞けド変態、この世で女に声かけていいのは、一緒に生きる覚悟があるやつだけだ!」
けだし名言です。
目標なく生きてきたキーチが、初仕事をきっかけにやりがいというものを覚えていくところが、とても良かったです。
いやあ、面白かった。キーチの成長と、出会った妖精たちとの交流(ノッカーが渋い!)、そして何より相談センターに勤める人たちとの温かさが伝わってくるやり取りが素敵でした。これはぜひとも続きが読んでみたいですね。
オトナリサンライク (ファミ通文庫 た 6-2-1)
竹岡 葉月
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