「かわいこちゃんは緋月のために女らしくなろうって思った、それだけの話でしょ」
「違います、自分のためです!」
この従兄弟は、いつもこういう歯に衣着せぬ物言いをする。
「あっそ。じゃ、『女らしくないあたし、紗那王に嫌われちゃう』とか、そういう感じ?」
「ち、違いますっ、違いますっっ、違いますっっっ!」
貧乏道場の一直線娘・桐緒と、クールな九尾の狐・紗那王とが繰り広げるドタバタラブコメの第六弾。今回は、女らしくなりたいと思った桐緒が、花嫁修業に行きたいと言い出して、大奥に足を踏み入れるお話です。
きゃー!最後、なんてこと!
冷静に考えれば、奥手の二人なんだから、いきなりそんな……と思いつつも、そろそろ紗那王も限界が、とも思うし、いや、もう、いろいろ考えちゃって、ニヤニヤでした。
そんなラストでしたが、そこに至るまでの道のりも楽しかった。急に大奥に行きたいと言い出したのは、もちろん紗那王のために女らしくなりたいという思いがあるからなんだけど、素直にいえない乙女心の桐緒と、そんな桐緒の思いぐらい気づいているだろうに、離れ離れになってしまうことが嬉しくなくて、不機嫌な表情を隠さない紗那王の姿を見てると、ほんと似たもの同士だなあと思う。
周囲の人たちが何かと構いながら見守る気持ちがとてもよくわかりますね。
にしても、紗那王はやることやってるなあ。「虫刺されの痕」とか、からかいのネタであるとともに、マーキングの意味もあったりするんじゃないかしら。まったくもって、ごちそうさまです。
で、女の園・大奥では、いろいろ苦労の耐えない出来事があるわけですが、新たな出会いと共に、嫉妬という感情を覚えていく桐緒がよかったかな。今までただ漠然とした紗那王への思いに、深みが増した気がします。嫉妬って決して悪いことばかりじゃないですよね。もちろん、それで歪んでしまってはいけませんが。
嫉妬は女のたしなみと言った歌橋さんがとても素敵でした。
目立つことをするなといわれても、困った人がいたら助けに入ってしまうところは、とても桐緒らしくていいですが、敵と明かされてもやっぱり、あの人は憎めないなあ。目的を果たすための行動こそすれど、嫌われるようなことをして、あまつさえ挑発まで繰り返すのは、とめてほしい思いがあるからじゃないかと思ったりしたんですが、さてさて。
桐緒との出会いで、何かを思ってくれれば嬉しいんだけど、どうなるかは、次以降ですね。
いやあ、面白かった。
斑娶りについての真相を聞いて、好きだけど、それでも躊躇する桐緒の戸惑いはよくわかりますが、背中を押すきっかけとなったのが、人である御台所の言葉であったのが印象的でした。嫁ぐって、そのぐらいの覚悟が必要なんですよね。
夫婦の絆を目の当たりにしたことも、桐緒にとっては大きく心動かされることだと思いますが、彼女ならきっと、うまく言ってくれると、似た者である歌橋さんをみて思いました。
ラブラブいっぱいな物語を堪能させていただきました。満足満足。
お狐サマの赤い糸ッ! (ビーズログ文庫 か 2-6)
かたやま 和華
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